林業者と「いかだ師」対立?嵐山や保津峡も登場 京都・南丹で水運の歴史特別展

大堰川沿いの船着き場を記した絵図などがそろう特別展(南丹市園部町・市立文化博物館)

 京都府南丹市園部町の市立文化博物館で、特別展「大堰川と由良川の水運」が開かれている。いかだと舟で材木やまきを出荷して栄えた歴史を、流域を描いた長さ8メートル以上の絵図やいかだを組むのに使った道具など約70点を通じて紹介している。

 森の広がる丹波では木材をいかだで京都に流した記録が平安時代から残るが、角倉了以の保津峡開削で舟運も始まった江戸時代を中心に展示している。

 「丹波国世木ヨリ山城国嵯峨マデ大井川筋絵図」は、長さ約4メートルの折り本2冊。舟運の上限だった現在の日吉ダム近辺から嵐山までの風景を描き、船着き場の位置や距離を書き込む。険しい山の続く保津峡にはさかのぼる舟を綱で引き上げる「綱道」とみられる道も記されている。

 江戸時代には由良川流域の年貢米を大阪に効率よく運ぶため、商人が大堰川水運との接続を何度も試みたことも紹介する。地元への説明で配った1759年の文書を展示し、京丹波町下山まで由良川を上がった後、日吉町殿田まで陸送する構想が分かるが、実現しなかった。

 大きないかだで迅速に出荷したい林業者と安全面から反対するいかだ師の対立が分かる文書や、いかだを組むため木材に穴を開ける工具や結束する縄などの道具も見られる。

 担当した犬持雅哉学芸員は「山と川の恵みがなりわいや文化を育んできた歴史に触れてほしい」と話している。

 12月3日まで。月曜休館。午前9時~午後5時。入館料が必要。

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