生成AIの助言、どう影響? 山形大・近藤教授ら、暗算の正答率基に検証

 チャットGPTなど生成AI(人工知能)の助言を基に学生が暗算をし、正答率が上がるかどうかを検証する試みを山形大の近藤康雄教授(64)=生産加工=らが進めている。現在の生成AIの能力と弱点を把握し、工学的な研究で生成AIを活用する際に役立てる。

 生成AIに、暗算中のストレスを軽減する方法を質問したところ、「適度な休息を取る」「作業に集中できるスペースを確保する」「騒音や人の声が気にならない場所を選ぶ」などと“ごく一般的”な回答だった。生成AIが導き出した方法を学生が実験。休憩や雑音の有無、作業スペースの広さなどを変えた四つのパターンで暗算した。環境要因によって正答率が上下する学生がいた一方で、影響がほぼ見られない学生もいた。どの程度影響が及んだのかは判別できなかった。

 近藤教授らは「生成AIが提案した内容は、作業成績に何らかの影響を及ぼすが、影響の強弱までを提案することはできない」とする論文を、10月末に仙台市で開かれた精密工学会東北支部学術講演会で発表した。

 工学的な研究に生成AIを導入することを想定し、うまく活用するノウハウを整理するため、検証実験は継続中。近藤教授は「生成AIの活用法や現在の実力を示すことで、バージョンアップにも貢献したい」と話している。

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