レッドブル&HRC密着:41年ぶりのラスベガス。初日は「かなり滑りやすい」路面でフェルスタッペン4番手、ペレス6番手

 ラスベガスでのF1は今回が初めてではないが、前回開催されたのが1981年と82年なので、じつに41年ぶりの開催となる。したがって、レッドブルのドライバーふたりにとってはもちろん、全ドライバーにとって、ラスベガスでレースを行うのは初めてだ。

 しかも、80年代に行われていたのはシーザーズ・パレスホテルの駐車場を利用して造られたコースだったのに対して、今回はラスベガスの目抜き通りなどを利用した半市街地サーキットのラスベガス・ストリップ・サーキットが舞台。ドライバーだけでなく、チーム関係者にとっても、ラスベガス・ストリップ・サーキットでF1マシンを走らせるのは初めてのこととなる。

 ちなみにサーキット名の『ストリップ』とは、ラスベガスで巨大カジノホテルが軒を並べる幹線道路である『ラスベガス・ブールバード』の通称だ。ストリップの元々の意味は細長い帯状の物で、ネオンの明かりがきらめく南北に長いこのラスベガス・ブールバートを空から見ると、まさに帯状になっていることからこのように呼ばれるようになったと言われている。

巨大カジノホテルが並ぶ幹線道路『ラスベガス・ブールバード』

 そして、このストリップで起きた事故によって、第22戦ラスベガスGP初日は長い1日となった。フリー走行1回目が開始されて約10分が経過したところで、ドレインカバー(排水溝のフタ)が外れてカルロス・サインツ(フェラーリ)のマシンを直撃。赤旗が出された。

 さらにその後方を走行していたエステバン・オコン(アルピーヌ)も外れて転がっていたドレインカバーと衝突してモノコックに大きなダメージを負った。

 これにより、フリー走行1回目は再開せずに中止が決定。国際自動車連盟(FIA)とサーキット側は急きょコースとして使用しているストリップの区間内にある30個のドレインカバーと排水溝を総点検。確認作業と修復作業に2時間以上費やし、フリー走行2回目は予定より2時間半遅れの11月17日、午前2時半に開始された。

 フリー走行1回目が約10分で終了したため、このセッションで4番手となったマックス・フェルスタッペンにとっても、9番手に終わったチームメイトのセルジオ・ペレスにとっても、60分のセッションでやらなければならなかった作業が山積みの状態のまま最初のセッションを終了していた。

2023年F1第22戦ラスベガスGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年F1第22戦ラスベガスGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

 そのため、FIAは午前2時半から開始されたフリー走行2回目の走行時間を通常の60分から90分に変更した。こうして始められたフリー走行2回目でペレスは4番手だったが、フェルスタッペンは6番手に終わった。

 ただし、フェルスタッペンも「初日はかなり滑りやすい路面だった」ため、この路面状態で速いマシンが、路面状態がよくなっていく2日目以降も速いとは限らない。

 F1史上最も遅い深夜4時にセッションが終了したラスベガスGP初日。2日目の最初のセッションは現時点で予定通り現地時間20時30分となっている。それまでの16時間半の間に、どんなセットアップを施すのか? ラスベガスの東の空にはすでに太陽が登り始めようとしている。

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