猟銃で駆除、こう動く 山形市、都市型クマ対応へ初訓練

オレンジ色のベストを着用した「アーバンベア等対応チーム」が、クマ役(左)を猟銃で捕殺するまでの動きなどを確認した訓練=山形市滑川

 市街地に出没するクマ「アーバンベア(都市型クマ)」による人身被害を想定し、山形市は17日、山形猟友会の選抜メンバーによる対応チーム結成後、初となる県警、県などとの訓練を市内で行った。クマに襲われる被害は県内外で発生しており、冬眠前のこの時期は、市街地への出没も増えている。被害を防ぐには、迅速な判断と対応が不可欠で、猟銃使用による駆除までの動きを確認した。

 午前8時50分ごろ、同市滑川の唐松観音堂近くを散歩していた男性が、体長約1メートルのクマ1頭を目撃。クマは住民を襲い、住宅街近くの河川敷に居座っている―という想定。現場近くの駐車場に現地本部を設置し、市役所に置いた関係機関による対策本部と連絡を取りながら、対応を協議した。

 近隣住民に外出自粛を呼びかけ、花火での追い払いを試みたが、クマはとどまり続けたという設定。対策会議では、猟銃での捕殺を決めた。

 市は山形猟友会の選抜メンバーによる「アーバンベア等対応チーム」への出動を要請した。同チームは8月に発足し、メンバーは猟友会員らで構成する同市鳥獣被害対策実施隊から選抜された25人。散弾に比べ威力が強いスラッグ弾の射撃能力が高い精鋭部隊だ。花火などで追い払っても対処できなかった場合、警察の許可を得た上で市街地での発砲が許される。訓練にはこのうち7人が参加し、現場の警察官の指示を受け、模擬的に猟銃を発砲。クマ役の職員を捕らえた。

 県みどり自然課によると、県内では今年、市街地での目撃件数が今月12日現在165件で、昨年1年間の111件を既に上回っている。人身被害は5件で、4件は山で遭遇しているが、残る1件は自宅敷地内で襲われている。今秋は餌となるブナが凶作とされ、冬眠前にクマが人里に出没し、遭遇する危険性は高まっている。市環境課の担当者は「実際の場合は訓練通りいかないかもしれない。対応チームや関係機関と、さらに連携を深めたい」と話した。

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