中国で進むDX化、「ライブコマース」の市場規模は3年で約19倍 日本企業は15.5%がDXに取り組む

テレビ愛知

中国のものづくり企業で進むデジタル化。その現状を取材しました。

グリーエレクトリック

広東省珠海市に本社を置く、家庭用エアコンで世界シェア2位の「グリーエレクトリック」。本社内のショールームの一角をのぞくと、女性の前にはカメラやモニター、撮影機材がありました。SNSを使った生中継の実演販売、いわゆる「ライブコマース」です。

ライブコマースの市場規模は3年間で約19倍に

中国のライブコマースの市場規模

中国の調査会社によると、中国国内のライブコマースの市場規模は2021年までの3年間で約19倍になり、日本円にして45兆円規模に。2023年は98兆円規模に拡大すると見られています。
※(1元=20円で計算)

高千穂大学商学部の永井竜之介准教授

「ライブコマース」は、デジタル化を意味するデジタルトランスフォーメーション(DX)の1つです。中国のDXの発展について、高千穂大学の永井竜之介准教授に話を聞きました。

高千穂大学商学部 永井竜之介准教授:
「中国は日本と比べて、消費者側のデジタル化・DX化がすごく進んでいる。キャッシュレスは100%に近い形で老若男女が使いこなしている。その前提があった上でのライブコマースであるというのは1つ言える。デジタルイノベーションを進めていく点で、中国は国全体で力を注ぎ込んでいるというのが確実にあるはず」

石目調のタイル

「ものづくり現場」でのDXはどうなっているのか。製造業の集積地である広東省・仏山市の企業を訪れました。中国の大手セラミックタイルメーカー「モナリザ」。主に手掛けているのは、自然な風合いの木目調や、石目調のデザインが売りのタイルです。

世界最長

このタイルは高さ9メートル。1枚のタイルとしては、世界最長なんだとか。そんなモナリザの工場に初めて、日本メディアが潜入しました。

約200人だった従業員数は70人に

工場をオートメーション化

よく見ると、どこを見渡しても人影はありません。AIや通信技術などを駆使して工場のオートメーション化を進めたんです。以前は3人がかりで行っていた工程を、今は1人でこなせるように。その結果、約200人だった従業員数は、3分の1の70人になったと言います。

「日本もDX化の波を受け入れないと勝負にならない」

さらに7日間かかっていた作業が1日で終えられるようになり、人件費削減による利益率アップと、納期短縮で競争力を高めました。

永井准教授:
「(世界の)成長している企業というのは、DX化(デジタル化)を進めている。世界中のライバルがDX化している以上、日本もそれに対抗するには、DX化の波を受け入れていかなければ勝負にならない」

DXに取り組む日本の企業は15.5%

生産効率がアップ

日本・愛知にも、DXを進めているものづくり企業があります。大府市の自動車部品メーカー「福富金属」です。工場内では、加工機械の稼働率をデジタル技術で「見える化」。モニターをチェックして、絶え間なく部材の補充や、機械の部品の取り換えなどを行い、効率を上げました。その結果、機械の稼働率が25ポイント上昇。この上昇率は、1年間で約1000万円の価値があると言います。

ただ、帝国データバンクによると、2022年10月の段階でDXに取り組んでいる日本の企業は15.5%。愛知県内では全国より多少は進んでいるものの、18.0%にとどまっています。

国や自治体の支援の拡充が必要

永井准教授:
「(日本でも)AI開発に関する補助金など、国や都道府県、自治体レベルで出しているものはある。大企業以上にDX化を進める中小企業がいる一方で、全く変わることができない中小企業もいる。(DXへの補助金の)利用が進んでいくべきだと思う。

企業側がもっと知る努力をするのも重要だと感じる。サポートする側(国や自治体)が支援を拡充しながら、認知されるように発信していくこと、どちらも大事」

© テレビ愛知株式会社