有言実行の快進撃、勝田貴元が3SS連続ベストで6番手浮上。総合はトヨタがトップ3独占/ラリージャパン

 11月19日、WRC世界ラリー選手権第13戦『ラリージャパン』の競技3日目午後はSS13~15が行われ、デイ2からトップに立っているエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が依然としてラリーをリードしている。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、3つのステージすべてでステージウインを達成し、総合順位を6番手に上げてみせた。

 前日のデイ2に続き、ふたたび勝田貴元劇場が開演した。愛知県豊田市と岡崎市、新城市に設定された3つのステージで争われた大会3日目午後のループで、GRヤリスを駆る勝田が躍動。

 今朝の2本目となったSS10“Lake Mikawako 1”で今大会4度目のステージウインを飾った“日本のヒーロー”は、日中のタイヤフィッティングゾーンを経て迎えたSS9の再走ステージであるSS13“Nukata Forest 2”でこの日2本目のステージベストを記録する。
 
 その後も「トップタイムを稼いでいけるように頑張ります」という事前のコメントどおり、三河湖SSの再走ステージと、全長6.70kmのやや距離が短くスピード域の高いSS15“Shinshiro City”でも最速タイムをマークし、大会7度目となるステージ優勝を飾った。ステージ途中から雨が降りはじめ次第に雪まじりのみぞれへと変わったSS14では、天候も彼を援護。勝田は路面が濡れる前にステージを駆け抜けることができたのだ。

 2日連続の3連続ステージウインの最中には総合順位を3つ上げ6番手に。さらに5番手オット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)とのギャップは3.6秒に縮まっており、さらなる順位回復にも期待がかかる。

 上位に目を向けると、午前中に行われた“Okazaki City SSS 1/2”で2ステージ連続ベストを記録したラリーリーダーのエバンスは“貯金”を減らしている。とはいえ、後続とのタイム差は1分13秒4と小さくはない。

 ウェールズ出身のトヨタドライバーは、勝田とは対照的にSS14でウエット路面に祟られ大きくタイムを失ったが、同SSでは優勝を争うセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)も同じようにタイムロスを喫したためドラマは起きなかった。エバンスとオジエのタイム差がもっとも縮まったのは午後のオープニングとなったSS13で、ここでは“8冠王者”が勝田に次ぐ2番手だったのに対し、エバンスはトップタイムから13.5秒落ちの7番手に沈んだ。

 上位を固めるトヨタ勢のなかで総合3番手につけているカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、降雨の影響が少なかったSS14でオジエとのギャップを縮め、SS12終了時点で35.2秒だった差を24.6秒としている。

 エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)は総合4番手から変わらず。その背後はWRC2勢に代わってタナクと勝田が続く。ラッピと5番手タナクのタイム差は30.1秒だ。

総合4番手につけているエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第13戦ラリージャパン

 WRC2クラスの争いは接戦が続いており総合7番手となったアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)と、同8番手グレゴワール・ミュンスター(フォード・フィエスタ・ラリー2)が5.5秒でカテゴリートップを争っている。クラス3番手/総合9番手は「藤原とうふ店(自家用)」の文字がリヤハッチに踊るシュコダ・ファビアRSラリー2を駆るニコライ・グリアジンだ。

 SS13まで総合10番手につけていたヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5)はメカニカルトラブルによってSS14でスローダウンを余儀なくされ後退。SS15ではついにステージ途中でマシンを止めてしまった。これによりカエタノ・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が、元F1ウイナーの全日本ラリー2連覇王者に代わって総合トップ10リザルトに入っている。

 豊田市を中心に開催されているラリージャパン2023はこのあと19時35分から、デイ3最後の戦いとなるSS16“TOYOTA STADIUM SSS 3”が行われる予定だ。

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