赤い衣装、「珠洲実」帰ってきた 作新学院高吹奏楽部が公演

力強い演奏で聴衆を魅了する出演者=珠洲市のラポルトすず

  ●ラポルトすずで開催

 栃木の名門・作新学院高吹奏楽部による珠洲公演(北國新聞社後援)が18日、珠洲市のラポルトすずで開かれ、部員約70人が4年前に譲り受けた旧珠洲実高吹奏学部のユニホーム姿で力強い演奏を披露した。来場者は、マーチングバンドの強豪だった「珠洲実」の真っ赤なユニホームが帰ってきた喜びに浸り、部員が奏でる迫力の音色に聞き入った。

 旧珠洲実高の吹奏楽部はかつて、高校生でつくる能登青少年吹奏楽団の中核で、全国大会に数多く出場し、海外の音楽祭にも参加するなど名門として知られた。赤いユニホームは1991年の石川国体で使われ、2010年の閉校で処分されることになったが、ブラスバンド部顧問だった喜多忠男さん(79)=能登町立壁=が県マーチングバンド協会の山田正俊理事長とともに引取先を探し、コンクールで数多くの受賞歴を持つ作新学院高吹奏楽部に贈られた。

 コンサートの第1部は、作新学院オリジナルユニホームで行われ、続く第2部で部員が珠洲実の赤い衣装で登場。同高は甲子園の常連高で、吹奏楽部はアルプススタンドでの迫力の演奏でも知られており、「ジャンボリミッキー」「高校野球応援歌メドレー」が華やかに披露されると、来場者は盛んに拍手を送った。

  ●寄贈の尽力者も感慨

 喜多さんも会場を訪れ「あのユニホームが今も生かされていることがうれしい」と目を細めた。

 作新学院は19日、2023ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭、国民文化祭の一環で、金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで開かれる「いしかわマーチングバンドの祭典」に出演する。

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