“貫いたシーズン” 広島カープ 林晃汰(23) 力感ゼロの構え「もっとホームランを。末さん(末包昇大)だけには負けたくない」

広島カープ・林晃汰 選手が今、どんな思いで宮崎・日南キャンプに臨んでいるのか取材した。

まずは林選手についての “数字” ―。

2000年 11月16日生まれ 23歳
2018年 秋 ドラフト3位
2019年 1軍出場なし
2020年 4試合 打率.125 本塁打0
2021年 102試合 打率.266 本塁打10
2022年 1軍出場なし
2023年 20試合 打率.207 本塁打1

林選手は今週、23歳を迎えました。まだ高卒5年目、智弁和歌山高校からドラフト3位で指名されました。このときの1位が 小園海斗 選手、2位が 島内颯太郎 投手、同期入団には 羽月隆太郎 選手がいます。

1年目は出場機会はありませんでしたが、大ブレークは3年目、102試合に出て、ホームランを2けた打ちました。翌年は1軍出場はありませんでした。そして、今シーズン、新井貴浩 監督のもと、ホームランは打ったんですが、レギュラー定着とはなりませんでした。林選手にどんな思いで今、キャンプでレベルアップを図っているのか聞きました。

広島カープ 林晃汰 選手
「自信というか、自分はもっとホームランだったりとか長打という部分は打てると思っているんで、そこは自分を信じてやりたいなと思っています」

プロ5年目のシーズンを終えた林晃汰。2021年には2けたホームランを記録するなど、長距離砲としての片りんを見せました。

若手中心の秋のキャンプでは泥だらけになりながらも、自らの課題を持って挑んでいます。

林晃汰 選手
「自分の課題だったりとか、そういうものが明確になって、それに取り組めているので。課題はリリーフのピッチャーからのまっすぐとか、強い変化球というのをしっかりとらえられるように、今回は紅白もたくさんあるので、そういう実践の場面で試せる部分もあるのかな。自分がシーズン中、試したくても試せなかったときもあったので、いい機会というか、チャンスだと思うので」

2023シーズンの “一貫した試み” とは―。

今シーズンの林は、マツダスタジアム2階席を直撃する特大のホームラン(5月28日)を放つなど、インパクトは残しました。ただ、1軍出場は20試合…。それでも年間を通して “一貫した試み” ができたと自信を得たシーズンとなりました。

林晃汰 選手
「自分的には、なんていうんですか、満足するような形ではなかったんですけど、バッティングの面ではしっかり自分の形というか、そういうものを1年間貫けたのかなとは思うので、そこはやっぱり継続してやっていきたいなとは思っています」

「その日によっても(コンディションは)違いますし、その中での “引き出し” というか、こういう形になっているなあと思ったら、練習で修正したりとか、そうやって理想の形というか、感覚というか、そういうものを試合前に近づけていこうっていう感じで行った結果、それが1年間できたと思うので、そこはよかったなと思います」

シーズンを通してコンディションと向き合うことのできた林ですが、バッティングフォームでも自身が “納得できる構え” が見出せました。

林晃汰 選手
「ことしの1月、自主トレである程度、自分の中でも楽にというか、そういう構えで自分の一番力が出やすいような構えで打ちたいと思ったので…」

今シーズン、たどり着いたのか、棒立ちのようにも見える構え―。構えすぎていないからこそ、タイミングを早く取ることができ、“自分の間合い” で打つことができるといいます。

林晃汰 選手(4月)
「ゼロからいっている感じがあるので、自分の中で。ちょっとでもなんかひざを曲げたりとか、ちょっとでもなんかしようとしたら力感がついちゃうので。そこをもう “ゼロにしたい” っていう気持ちで立つという」

プロ5年目で自分自身としっかり向き合うことができた林。さらに今シーズン、覚醒の兆しを見せた “ある先輩” の存在が、林の闘志を燃やしてくれたそうです。

ライバルは 末包昇大 ―。

林晃汰 選手
「いや、本当に負けたくないと思ってやっていますし。“末さん” だけには負けたくないなと思います」

林がライバル視しているのは、4学年年上の右の長距離砲・末包昇大 です。8月に2試合連続の一発を放ち、そのパワーを見せつけると、シーズンの最終戦まで1軍に出場。11本のホームランを放ち、飛躍のシーズンとなりました。

林晃汰 選手
「2軍のときからですね。ずっとお互い、たぶん、お互いというか、もう負けたくないと思ってやっています。末さんには全部負けています」

― そんなことはないでしょう。
「いや、ほんまです。だから早く追い越せるようにがんばります」

同じパワーヒッターから見ても末包の力はすさまじく、あこがれの存在です。

林晃汰 選手
「いや、もう末さんはやっぱり飛ばす能力というか、1人全然違うと思うので、そこは自分も負けずにやっていけたらいいかなと思います」

― アドバイスをもらったり、情報交換はしたりする?
「バッティングですか。いや、実はないです。なくて、ぼくはもう陰でずっと見ています。見て、『ああ、こういう打ち方しているんだ』『おれもやってみよう』と」

2024年、レギュラー奪取へ―。

シーズンを通して一貫性を保てたバッティングと、追いかけるべき背中を見つけた2023年。秋のキャンプで課題と向き合い、来シーズン、レギュラーの座を狙います。

林晃汰 選手
「いや、もう誰にも負けないようにしようって決めているので。別に今、全然満足しているというのはないので、もっともっと追い求めていきたいとは思っています」

◇ ◇ ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
チーム内にしっかりライバルだと思える人がいるっていうのはすごくいいと思うんです。わたしも現役時代、赤松真人 コーチが右と左の違いはあるけども負けたくないし、もう同じですよ。陰ながら、ああやって守っているんだ、ああやってスタート切るんだっていうふうに言える存在がいるっていうのは、本人にとってもいいですし、チームにとってもすごく刺激があっていいんじゃないかなと思います。

石田充 アナウンサー
林選手なんですが、インタビューの中で日々の練習の中で1日1日、コンディションが違うので、それを修正しているという話があったんですが、これと同じ話をしていた “ある先輩” がいるんです。

広島カープ 松山竜平 選手
「ずっといい状態が続くわけじゃないので、いろいろ試しながら試しながらやっていく中で、きょうはこういうフォームとか、トップの位置とか、そういうのを
もう日々、探しながらやっています。その日によって、やっぱり体の状態も違いますし、そこ(打撃練習)でなんとかバットがスムーズに出るフォームだったり、動きだったりを探しながらやっています」

天谷宗一郎 さん
「師匠ですね」

石田充 アナウンサー
先輩と同じことを林選手は言えているということです。

天谷宗一郎 さん
ぼく自身もヤクルトスワローズの青木選手に「寝方ひとつで人間の体は変わるよ」って。「練習前に上を向いて寝るのか、左を向いて寝るのかで変わるよ。だから練習前にいいポジションを探すのが大事だよ」って言われて、全く一緒ですよね。

石田充 アナウンサー
“師匠” 松山選手もいて、そして、ことしは末包選手というライバルも出ました。6年目の来シーズンを迎える林選手、レギュラー定着なるか非常に楽しみです。

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