医師死亡…母死去し息子発砲、心臓破裂の状態 逮捕時に認めた殺意は「記憶ない」法廷で息子が否認 裁判官が質問「どうすれば撃たなかったか」…息子「母遺体に蘇生措置しなかった。今でもなぜ?と思う」

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 埼玉県ふじみ野市の住宅で昨年1月、医師=当時(44)=が散弾銃で射殺されるなど医療関係者3人が死傷した立てこもり事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職の男(67)の裁判員裁判の第10回公判が16日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側の被告人質問で男は、逮捕後の取り調べの際に殺意を認める供述をしていたことについて、「記憶にない」などと繰り返し、改めて殺意を否認した。

 裁判官に、どうすれば犯行をせずに済んだか問われた男は「(医師は)蘇生措置をしてくれなかった。今でもなぜしてくれなかったのかと思う」と述べた。小池裁判長から「銃を発射され命が失われた。ずっと引きずる障害を負った。(自身の考えを)押し通し過ぎたとは思わないのか」と問われると、男が母親への蘇生措置をしなかったことに触れ同じ主張を繰り返した。

 起訴状などによると、男は昨年1月27日、自宅で散弾銃を発砲して医師を心臓破裂で死亡させ、理学療法士の男性=当時(41)=に肝損傷などの重傷を負わせた。さらに、医療相談員の男性=同(32)=に催涙スプレーを放ち、路上にいた別の医療相談員の男性=同(42)=に別の散弾銃を放って殺害しようとしたとされる。

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