病院の救急車をクラウドファンディングで買い替え 職員奔走3000万円集まる

クラウドファンディングを活用して導入した救急車(東近江市五智町・東近江総合医療センター)

 東近江総合医療センター(滋賀県東近江市五智町)は、このほどクラウドファンディング(CF)で募った資金を活用し、老朽化していた救急車の買い替えに成功した。目標額を大きく上回る寄付が全国から寄せられ、センターは「新しい救急車とともに東近江の地域医療を守っていきたい」としている。

 センターは、東近江市、近江八幡市、竜王町、日野町の中核病院として地域医療を支えている。患者の転院用に救急車1台を保有していたが、老朽化が激しくてエンジントラブルが起きるなど、早急に買い替える必要があった。

 しかし、新型コロナウイルス禍に伴う患者の受診控えなどで病院収益が悪化していたことから、購入費2千万円を募るCFを昨年12月から今年2月まで実施していた。

 職員たちは4市町の企業・団体などを回って寄付頼みに奔走。東近江市に事業所を構える大手メーカーや地元企業、市民らを中心に555人・団体から計3千万円の寄付金が寄せられた。

 新たに導入した救急車には、最新式のストレッチャーのほか、追突防止センサーも搭載されて走行時の安全性能が向上している。車体デザインは職員からの公募で決め、側面にセンターのロゴと東近江市の花のムラサキをあしらった。車内に医療機器を積み込んで最終点検などを行った上で、10月16日から運用を開始した。

 余った寄付金は、集中治療室向けのベッドやAED(自動体外式除細動器)の導入に充てた。東近江総合医療センター企画課の小西宏一課長は「目標額を上回る寄付が寄せられ、地域からの期待の高さを改めて実感している。新しい救急車の配備を契機とし、よりよい医療の提供に努めたい」と話した。

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