「容疑者から議会で質問するよう2~3回頼まれ…」 沖縄県警、同僚市議を参考人聴取 前那覇市議長の汚職事件

(資料写真)沖縄県警本部

 那覇市有地に関する贈収賄事件を巡り、現金計5千万円の収賄容疑で逮捕された前那覇市議会議長の久高友弘容疑者(75)が同僚の市議1人に対し、市有地に関して議会で市当局を追及すれば謝礼を支払うと持ちかけたとされる問題で、県警特別捜査本部が参考人としてこの市議から事情を聴いたことが18日、関係者への取材で分かった。依頼の時期が議長室での現金授受以降のため、県警は久高容疑者が賄賂の見返りに行ったと見て調べている。

 この市議は本紙の取材に「久高容疑者から質問するよう2~3回頼まれ『ちゃんとお礼をする』と言われた」と証言。「所有権問題は裁判で決着するべきだと、依頼を断った」と説明した。実際、この市議は議会で追及していない。

 市議によると、謝礼の話があったのは2021年11月ごろ。自家用車の助手席に久高容疑者を乗せ、自宅へ送る際に言われた。議長室に呼ばれて依頼されたこともあったという。

 刑事事件に詳しい近畿大学の辻本典央教授(刑事訴訟法)は「久高容疑者が他の市議に質問を依頼することは議長本来の職務ではないものの、議長の立場を利用した職務行為であり、賄賂の見返りと解釈される可能性がある」と指摘する。

 久高容疑者は現金計5千万円を受領したとされる21年2月以降、自ら議会での質問や百条委員会設置の提案を通じて「戦後、民間人女性の土地が市に不正に侵奪された」などと市当局を追及していた。県警は久高容疑者による市の追及を把握していて、賄賂の見返り行為だったと見て調べている。

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