売れ行き、価格 影響なし/猛暑で1等比率低下の青森県産米/食味問題なく はれわたり好調

青森市内のスーパーのコメ売り場。猛暑の影響で1等米比率が低下したものの、新米の売れ行きに影響はないという=10月中旬

 記録的猛暑の影響で、コメが白く濁る白未熟粒などの高温障害が多発した2023年産の青森県産米。関係者らによると、現時点で消費者からの不満はなく、売れ行きへの影響や販売価格低下は見られていないもようだ。一方、他県では品質低下が深刻なコメどころもあることから、今後値下がりしたブランド米が外食などの業務用に流入した場合、県産のまっしぐらと競合するかも-と先行きを懸念する声も聞かれた。

 23年産米は、米粒の形や色が一定の基準を満たし高値で取引される「1等米」の比率が全国的に低下。県産米の9月末時点の1等米比率は、過去10年間で最も低い68.9%(前年同期比23.3ポイント減)だった。

 県や卸売業者によると、等級が下がっても食味に問題はない。県産米は通常、1等米と2等米が混ざって市販されているが、落等(2等米以下)の原因になった品質の悪い米粒はある程度はじかれた状態で販売されるという。

 県産米の卸売りを手がける水晶米あおもり事業協同組合(本社青森市)の担当者は1等米比率の低下について「今のところ価格への影響はない。消費者から品質へのクレームも特にないようだ」と説明。同市内のスーパーの担当者も「コメは昨年と同じくらい売れていて、新品種のはれわたりは特に出ている。客からは品質が悪いとの声はない」と語った。

 コメは全体的にコロナ禍からの需要回復に伴い、価格も上昇傾向にある。県米穀集荷協同組合によると、業務用として評判が高いまっしぐらは、今年も根強い需要がある。齋藤猛専務は「全国的な品質低下でコメの絶対量が少ない。卸売業者も量を集めたいはずなので価格が上がるのは当然では」との見方。一方、全農県本部の長内敏也米穀部長は「品質が悪く家庭用として売れないコメが業務用に流れてくる可能性もある。そうなると、まっしぐらの価格に影響が出てくるかも」との懸念を示した。県総合販売戦略課の藤森洋貴課長は「コメの全体量が少ない中、本県産米を食べてもらう機会があれば販路拡大につながる。イベントなどの機会を捉え、地道に販売促進に努める」と話した。

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