中国記者20万人「工作部隊」に メディア業界25%減少

「全国新聞記者職業資格試験」を終えた受験者ら=4日、北京(共同)

 【北京共同】中国の習近平指導部が、約20万人いる新聞やテレビの記者を、共産党の方針を浸透させる「世論工作部隊」(党機関紙)に育て上げようとしている。記者向けの全国統一試験を初導入し、習国家主席の思想の習熟を義務付け。SNSを拠点とするメディアの管理も強まり、当局が出す記者証の保有者数はここ数年で約25%減少した。当局から独立した立場で報じる言論空間は消滅寸前だ。

 「習主席の思想をしっかり理解してこそ、記者を名乗るのにふさわしい」。今月4日に初めて実施された「全国新聞記者職業資格試験」。北京の会場で受験した通信社勤務の20代の男性記者が誇らしげに語った。

 試験は、習氏の思想や指導部の戦略の理解度を試すとして今年導入された。習氏が重視する「国家安全」「台湾統一実現」「世界一流の軍隊建設」といった戦略の知識を問う。すらすら答えられない記者は排除される。

 中国新聞事業発展報告によると、12年に習指導部が発足して以降、14年に25万8千人だった記者証保有者は21年時点で約19万4千人まで減少した。

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