津軽領 精妙、色彩豊か 宝暦年間作成の国絵図「御郡中惣絵図」初公開 青森・五所川原市

一般公開された「御郡中惣絵図」に見入る来場者=19日、五所川原市中央公民館

 江戸時代の宝暦年間(1751~64年)に弘前藩が作成した「御郡中惣絵図(おんぐんちゅうそうえず)」が19日、五所川原市中央公民館で初めて公開された。縦349センチ、横427センチの巨大な絵図が大ホールに広げられ、精妙かつ色彩豊かに描かれた津軽の山河に、来場者が見入った。

 御郡中惣絵図は2001年、同市教育委員長を務めた阿部育也氏から市に寄贈された。その後、長らく市教委が所蔵してきたが、昨年の調査で県内初確認となる宝暦年間作成の津軽領の「国絵図(くにえず)」であることが分かった。幕府への提出用ではなく、国元で使うために作ったとみられており、今年3月に市の有形文化財に指定されている。

 一般公開は、西北五地方の郷土史研究グループ「北奥文化研究会」が同市教委の協力を得て企画した。会場には市内外から歴史ファンや研究者ら約120人が詰めかけ、領内の村々や山、川、航路などが詳細に描かれた絵図を、さまざまな角度から眺めたり写真に収めたりしていた。

 市内から来た相馬順昭さん(76)は「深浦出身なので、絵図に深浦やそこから延びる航路が描かれているのを見て、感慨深いものがあった。五所川原の大きな財産だと思うので、普段でも見られるような設備があればいい」と笑顔で語った。

© 株式会社東奥日報社