首相、国の全基金見直し指示へ 無駄の温床と批判受け22日にも

国の基金の年度末残高推移

 岸田文雄首相は22日にもデジタル行財政改革会議を開き、国が中長期的な政策推進のために積み立てた180超の全基金の見直しを指示する方針を固めた。河野太郎行政改革担当相に点検ルール策定を要請する。基金は新型コロナウイルス対策関連事業で急増し、残高は2022年度末時点で計約16兆6千億円に上る。無駄の温床との批判もあることから運用の透明性を確保し、使う見通しのない資金は国庫に返納させる方針。政府関係者が19日、明らかにした。

 基金は、予算の単年度主義の例外として扱われる。継続的に取り組む施策にまとめて財源を確保できる利点がある一方で、不要な積み上げは管理費がかさむだけでなく、無駄な支出につながる懸念がある。国会審議でも取り上げられ、首相は「十分な効果を上げていない基金は在り方を見直す」と答弁していた。

 基金を立ち上げる際には10年を超えない範囲で事業終了の時期を設定する基準がある。内閣官房行革推進本部の調査によると、現状では約3割の基金で期間を定めておらず、成果目標を設定していない事業もあった。

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