SFL王座に届かずも“学びの多かった一年”。平良響「負けたことで勉強になったこともあった」

 11月18〜19日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第6大会。今季最終ラウンドで、シリーズは木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)がチャンピオン獲得で幕を閉じた。その一方で悔し涙をこらえて最終戦となる第18戦の表彰台に立っていたのが、この大会をポイントリーダーで迎えるも、王座を逃すかたちとなった平良響(モビリティ中京 TOM’S 320 TGR-DC)だ。

 平良は今季がスーパーフォーミュラ・ライツ参戦3年目。第4戦スポーツランドSUGOで今季初優勝を飾ると、コンスタントに表彰台を獲得し、第5大会を10ポイントのリードで終えていた。しかし第6大会では、第16戦の予選でのミスもあり、上位グリッドに食い込めず。それが第16戦以降の各レースにも影響し、第18戦での3位が今大会での最上位となった。特に最終戦ではスタートでポジションを上げ、序盤は木村の背後についてチャンスをうかがったがが、前に出ることはできなかった。

 今季、平良は参戦する4カテゴリーでチャンピオンを視野に入れたシーズンを送っており、前週に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久ではST-Xクラスチャンピオンを手にしたが、そのさらに前週に行われたスーパーGTでは逆転王座は叶わず、GT300クラスでランキング2位に終わっていた。

 レース後「今年、何回目の2位なんだろう……」とつぶやいた平良。レースに関しては「スピードで相手に勝てなかった」と認めつつも、悔しい気持ちは変わらない様子だった。ちなみに、今季の彼が参戦した4カテゴリーでの決勝で獲得した2位の回数を調べると、S耐が0回、SFライツは6回、GT300は3回、GR86/BRZカップでは2回。年間ランキングではSFライツとGT300を2位で終えた。

 ただそれでも平良は、一年を通じてさまざまなカテゴリーに参戦したことで、大きな経験を積むことができたと語る。

「今年は4カテゴリーに参戦させていただいて、誰よりもレースをしているんじゃないかと思うくらい、今年は毎週のように走っていました。乗せていただいたチームには感謝していますし、自分が上手になり、チャンピオン争いができるようになってきた実感もあります。レースの組み立て方なども学ぶことができた一年でした。でもだからこそ……チャンピオンを獲れなかった悔しさがあります」

 なかでも、ふだんから意識することが多かったのがスーパーフォーミュラ・ライツだった。「『どうやったらライツでチャンピオンを獲れるか?』と考えながら、他のレースもしていて……それだけライツに集中していました」と平良。強力なライバルである木村とB-MAX RACING TEAMをいかに攻略するかが、今季の最大のテーマだったという。

「僕はTOM’Sで3年目ですし、僕が今季チーム内いちばんポイントを獲っていることもあって、チームのなかでも『どうやって平良が木村を攻略するか?』のような雰囲気になっていたシーズンでした。ただ、スピードではB-MAX勢の方が良いなかで『どうやってレースで追い上げるのか』、『予選一発の速さを絞り出して、前に出るか』を考えていました」

「その中で、すごく成長できた部分はあると思います。エンジニアリング面やクルマの構造なども、すごく勉強しました。木村選手を倒すという目標があったことで、良い経験ができたのかなと思います」

 改めて、4カテゴリーに参戦した一年を振り返ってもらうと、平良は「負けたことから勉強になったことがあった一年」だと語った。

「やはり勝った時よりも、負けたことの方が勉強になることが多いじゃないですか。もちろん、負けて良かったとは言わないですけど、この経験をしたことで勉強になったことがたくさんありました」

 平良自身としては、まだ富士スピードウェイでTGR GR86/BRZ Cupの最終戦が残っている。悔しい気持ちが先行する一年となったが、ここで好結果を残して、良い形で2023年を締めくくりたいところだろう。そして何より、平良が語ったように、この悔しさは将来もっと強く、速いドライバーになるための大きな糧となるはずだ。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 平良響(モビリティ中京 TOM’S 320 TGR-DC)

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