朝乃山復帰、白星発進 大関貴景勝下す「うれしかった」

 大相撲九州場所(福岡国際センター)8日目の19日、東前頭筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東大関貴景勝(常盤山部屋)を下手投げで下し、復活の1勝目を挙げた。けがでの休場から途中出場した初戦で、横綱に最も近い格上との大一番となり、物言いの末に白星を手にした。「待ってました」と言わんばかりの大きな拍手を受けた朝乃山は「うれしかった。感謝の気持ちで、自分のためにも頑張る」と決意を込めた。

 場内に協議結果がアナウンスされると、満員御礼の会場から歓声が沸き上がった。折り返しを迎えた中日で最も注目を集めた一番。途中出場した朝乃山は負ければ負け越し、綱とりに挑む貴景勝も3敗目となれば昇進が一気に遠ざかることを意味していた。

 肉離れを負った左ふくらはぎから足首にかけてをテーピングで固め、左腕にはサポーター。出場停止処分を除き、初めて初日から休場し、途中出場となった土俵下の控えでは体が震えた。少年時代から初めての経験だった。それでも自らを奮い立たせ、土俵に立った。

 貴景勝の激しい突き、押しを下からあてがい、懸命に耐える。ぐらついて後退するも、左四つで組み止めると、相手が突っ込んできたところで俵伝いに左へと回り込み、左下手投げで際どく逆転した。物言いがつきながら軍配通りで制し「相撲内容は悪いが、結果は勝てて良かった」と一息ついた。

 9日目は西大関霧島(陸奥部屋)との対戦が組まれた。過去の対戦成績は4勝3敗できっ抗。先場所は外掛けで霧島が勝利し、名古屋場所では朝乃山がすくい投げで下している。勝ち越しへ望みをつなぎ後半戦に挑む。

  ●「信じていた」新田知事

 都内で取材に応じた新田八朗知事は「場所前に休場と聞いた時からきっと出てきてくれると信じていた」と歓迎。負け越しが決まる前に途中出場を決めたことには「可能性がある限り、彼はやってくれると思う。みんなで応援していきたい」とエールを送った。

© 株式会社北國新聞社