冨樫さん(酒田一中3年)喜び語る 少年の主張全国大会で文科大臣賞

文部科学大臣賞を受け、喜びを語る酒田一中3年の冨樫蒼汰さん=酒田市

 第45回少年の主張全国大会(11月12日、東京)で自閉症スペクトラム障害の弟との出来事を発表し、最高賞に次ぐ文部科学大臣賞に輝いた酒田一中3年冨樫蒼汰さん(14)が「手助けしたいという思いを届けることができ、うれしかった」と喜びを語った。大会で秋篠宮家の次女佳子さまと交流する時間が設けられ、励ましを受けたといい、「とてもうれしかった」と振り返った。

 「大切な家族」と題し、弟につらく当たってしまった経験から「家族が理解者でなければならない」と反省した心境を発表した。そして「手助けが必要な人に、率先して手を差し伸べられる人になりたい」と結んだ。今も日常生活で困難なことはあるが、自閉症スペクトラム障害の人が世界中にいることを学び、思いを主張にぶつけた。

 佳子さまからは「人に手を差し伸べられる人はなかなかいないので、これからも頑張ってください」と言葉をかけられたという。

 冨樫さんは、今年9月の「第62回県少年の主張大会―いま伝えたい私のメッセージ」(山形新聞、山形放送、県防犯協会連合会、県青少年育成県民会議など主催)で最優秀となり、その後の審査で北海道・東北代表に選ばれた。大会出場を志したのは、母の影響だという。全国大会を目指したがかなわず、悔しい経験をしたことを母から聞き「親を全国に連れていきたい」との思いを強くした。

 指導に当たった酒田一中の菅原晴子教諭(56)は「最初は原稿用紙8枚にもなった。思いがあふれていた」と話す。夏場に、原稿用紙4枚程度にまとめて何百回も練習を重ね、上位大会へと進む中で他の出場者を参考に表現力を磨いた。「助言を受け入れる素直さが光った」と菅原教諭。級友の渋谷壮太さん(15)は冨樫さんの人柄を「明るくて、誰にでも優しく接している。友人の信頼が厚いムードメーカーだ」と話し、祝福した。

 学校の水泳部で奮闘した冨樫さん。趣味はゲームで、将来はプログラミングの仕事に就きたいという。家族や周囲の笑顔と支え、佳子さまの言葉を胸に、夢の実現へと歩みを進めることを誓った。

全国大会で文部科学大臣賞を受け、写真に納まる冨樫蒼汰さん(前列左から5人目)=東京(酒田一中・菅原晴子教諭提供)

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