手動消灯で再発防止 金沢競馬レース通常開催 調教師、騎手と対応協議

通常通り行われた第1レース=20日正午、金沢競馬場

 金沢競馬で19日夕に行われたレース中にタイマー設定のミスで走路照明が消え、騎手3人が落馬、競走が不成立となったアクシデントで、石川県競馬事業局は20日、レースが終わる前に2時間早い時刻を設定していたと明らかにした。事業局側は再発防止のため、今後は全レース終了後に安全を確認した上で手動で消灯すると説明。20日の本場は正午から通常開催された。

 同事業局は20日午前、所属する調教師と騎手(調騎会)を集め、対応を協議した。事業局側は本来は全レース終了後に行う消灯タイマーの設定を、19日は担当者がレースが終わる前に作業し、時間設定を誤ったとした。調騎会側は再発防止の徹底を前提にレースの再開に同意した。

 午前9時からの会合は調教師と騎手ら約40人が出席して非公開で行われた。

 県競馬事業局によると、冒頭、臼井晴基局長がアクシデントを謝罪。再発防止策の徹底と、馬主、調教師、騎手らへの補償を行う方針を示した。

 出席者によると、会合では調騎会側から「高速道路を運転中にいきなり明かりが消えるようなものだ」などと怒号が飛んだ。一方で「レースをやらない状態が続けば、(採算面から)金沢競馬が廃止になってしまう」などの声も上がり、約30分の協議で本場開催に同意した。

 会合には北陸農政局の担当者も同席した。

 会合後、調騎会騎手部門会長の青柳正義騎手は「システムのエラーではなく、再発防止が可能だ。徹底してほしい」と述べた。19日のレースで騎乗した一人として「目の前が突然真っ暗となり、怖かった」とも語った。

 ファンからはレース開催を歓迎する声が聞かれた。50年前の移転から通い続けているというかほく市の70代男性は「びっくりした。金沢競馬に来るのが何よりの楽しみで、再開できたのは良かった」と話した。一方、金沢市の70代男性は「人の命に関わる問題だ。安全確認は目視が基本で、機械に頼りすぎているのではないか」と指摘した。

会合後、会場を出る調教師や騎手=20日午前9時35分、金沢市の石川県競馬事業局

© 株式会社北國新聞社