40代から年間7万円も増加! 50代が加入する生命保険、年間払込保険料はいくら?

婚姻年齢がまちまちの現代は一概に言えませんが、50代は子育てがそろそろ一段落する時期。教育資金が落ち着いたのもつかの間、今まで気にならなかった、更新型生命保険料がいっきに増え始め、見直しを考える時期でもあります。


データから見る50代の保険加入傾向

50代の保険加入傾向はどのようになっているでしょうか?

生命保険文化センターで3年に一度行われる「生命保険に関する全国実態調査」2021年度のデータを参考に考えます。

全生保(民間保険、簡保、JA、県民共済、生協等含んだ生命保険)の全体の加入率は89.8% 50~54歳の加入率は93.0%、55~59歳の加入率は94.8%となっています。全年代で加入率が一番高いのが50代です。子育てが一段落するとはいえ、現役で家族を支える50代の生命保険への関心は一番高いのでしょう。

世帯における加入件数は40代と大きく変わりなく、50~54歳で4.1件、55~59歳で3.9件です。

では、50代の生保加入者はどのような保険に加入しているのでしょう。

出典:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」より

医療やがん、脳血管疾患・心疾患などを保障する特定疾病などへの関心がとても高くなっています。入院の保障に加え、通院治療が増えている医療事情に合わせて、通院特約への加入が多いのもこの年代の特徴です。反対に健康不安はあるものの、教育資金の保障も一段落した時期でもあり、就業不能保障が後半減ってきている特徴も見られます。

年間払込保険料、50代の特徴

生命保険加入者全体の世帯年間払込保険料は37.1万円です。世帯で月約3万円の保険料を支払っていることになります。50~54歳は43.2万円、55~59歳は43.6万円です。

40代の平均から年間7万円ほど保険料が上がっているのは、更新型の保険による保険料アップではないかと思われます。

更新型保険の場合、20代から30代、30代から40代と節目ごとに保険料が上がっていきます。若年のうちは、さほど大きなアップではないのですが、40代から50代、50代から60代となると、うなぎ上りに保険料が上がっていく傾向があります。保険金支払いのリスクが高くなっていくので、当然のことではありますが、急激な保険料アップは家計に大きな負担となっていきます。

このデータから、現役で収入を得ている方が多い50代では、保険料アップはあるものの、そのまま更新を受け入れている様子が読み取れます。

全国実態調査のデータで、直近に生命保険に加入した方法は何か?というデータがあります。今までの生命保険をやめて、新しく保険に加入した。という数字は、40代で突出して高い数字が出ていましたが、50代では10%程減っています。40代に比べ、新しい保険に入りにくくなっているひとが増えているのではないでしょうか。

そのような傾向はありますが、近年、持病を持っている方でも入れる保険が多く販売されています。60代になればますます高くなる保険料。人生100年時代、一生涯医療保険やがん保険は必要となってきます。思い切って、50代でリセットを考えてもいいでしょう。

見直しの保険設計を考える

更新時、保険の見直しをする場合の一例をあげてみましょう。

50歳(夫) 会社員(製造業管理職) 年収500万円 社会保険加入

50歳(妻) 会社員(自動車販売営業)年収350万円 社会保険加入 子24歳、22歳

現在加入中の更新型保険の見直し

現在の保険の契約内容(夫)

積立型の終身保険がベースにある10年更新型の保険
保険料:1万5300円 55歳更新時:2万5800円 65歳更新時:4万3200円に上がっていく予定

●医療部分
入院日額1万円 入院一時金5万円 先進医療特約付 80歳以降更新できず

●積立部分
将来死亡保障にあてるための積立 月500円 70歳まで積立てて約30万円

●収入保障部分
介護500万・重度慢性疾患300万・特定疾病300万 所定の状態または死亡で支払われる

現在でも月額1万5300円の保険料は負担が大きいが、5年後の更新時には月額2万5800円になる予定。さらに保険料が上がり続けることと、80歳以降は更新できないことに不安を持っている。見直しをしたいが、2年前に精神的に不安定になり、心療内科で治療をした経緯があり、保険の見直しが厳しいと思っていた。精神疾患があっても条件に合致すれば加入できる保険があることを知り、見直しに踏み切った。

見直しの内容

50歳男性(夫)

●死亡保障付緩和型医療保険
入院日額5千円 三大疾病一時金50万円 ガン診断給付100万円 先進医療特約 死亡保険金100万円
終身払 終身保障 保険料1万5400円

50歳女性(妻)

●死亡保障付医療保険
入院日額5千円 三大疾病一時金50万円 ガン診断給付100万円 先進医療特約 特定疾病払込免除付 死亡保険金100万円
終身払 終身保障 保険料1万3000円

今まで死亡した場合の保険金は1100万円だったが、子ども2人が大学を卒業し、学資の心配はなくなったため、死亡保障を付帯できる一生涯保障の医療保険に見直し。

死亡保障は少なくしたが、今まで複数回支払いができるがんや三大疾病の保障はなかったため、その部分の保障を厚くした。妻は、体況に問題がなかったため、緩和型ではなく、一般の医療保険に加入。特定疾病保険料払込免除も付加した。

夫の見直し当初は、保険料1万5400円と現在より高くなってしまうが、今後保険料は一生涯変わらないことと、保障が一生涯続くことで、将来へ向けての医療費負担への不安が解消できました。


世帯年収に対する年間払込保険料の割合というデータがあり、世帯年収に対する払込保険料の比率は平均で6.7%。年収500万円の場合、年間払込保険料は33万5000円、月額にすると約2万7900円です。ご夫婦で同様の保険に加入すると、約2万8400円と少し高くなりますが、老後の負担が少なくなることと、三大疾病にも備えた一生涯の保障を持つことで、老後へ向けて生きていくためのリスクに備えることができました。

持病があるからといって安易にあきらめず、いろいろな保険商品を探してみましょう。若干割高ではありますが、見直すことにより、保障内容も今の医療制度に沿った内容になるでしょう。また、子どもが独立した後は、夫婦ふたりの生活を基盤に考え、死亡保障は極力抑え、生きていくための保障を充実していくことが大事です。

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