「映画はもっと進化しなきゃおかしい」北野武が追求する美学と原動力とは?“常識をぶっ壊す”戦国バイオレンス『首』23日(金)より公開

北野武監督 『首』©2023KADOKAWA ©T.N GON Co.,Ltd

映画の可能性を信じる、北野武の作品創りとは?

1997年『HANA-BI』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、2003年『座頭市』で銀獅子賞を受賞、2017年『アウトレイジ 最終章』は同映画祭のクロージング作品に選ばれるなど、数々の歴史的快挙を達成してきた、日本が世界に誇る映画監督・北野武の最新作にして、構想に30年を費やした戦国スペクタル超大作・映画『首』が2023年11月23日(木・祝)より、ついに公開となる。

「世界のキタノ」が映画を撮り続ける原動力は何なのか? その“映画美学”を監督自身の発言やプロデューサーのコメントともに紐解いてみよう。

観る者の常識を破壊してきた北野監督の美学が詰まった『首』

北野武監督が初期の代表作の一つ『ソナチネ』と同時期に構想し、30年もの長きにわたって温めていた本作は、巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた念願の企画の映画化だ。

北野武自ら演じる羽柴秀吉をはじめ、明智光秀を西島秀俊が、織田信長を加瀬亮が演じる本作。また、浅野忠信の黒田官兵衛や大森南朋の羽柴秀長、さらに北野組初参戦の中村獅童のほか、木村祐一、遠藤憲一、桐谷健太、小林薫、岸部一徳らが歴史上の重要人物たちを熱演する。

今まで誰も観たことがない“本能寺の変”を、壮大なスケールで描ききった映画『首』は、監督として数多くの名作を世に送り出してきた北野武の集大成であり、観る者の常識を破壊してきた北野監督の美学が詰まった作品だ。

「映画は100年ちょっとの歴史の中で、あまり変化していない」

世界中を魅了してきた北野武作品。これまで世に生み出されてきた作品、そして本作『首』に共通するのは、北野武監督の「常識や伝統、しきたりにこだわらない」という姿勢だ。

プロデューサーの福島聡司が、北野武監督の凄さを「監督は相当な文献を読んで史実を勉強していますし、時代劇も相当研究しています。その上で、今までの常識を気にせず本作品を仕上げています」と語る通り、通常こういった時代劇は、時代考証の先生を立てるものだが、今回は誰もいない。「時代劇愛好家や学者さんからは、色々と言われるかもしれませんが、そんなのお構いなしという感じでこの作品を描いています。ここまで自信を持って己の世界観でこの戦国時代劇を撮れる監督は北野武監督だけではないでしょうか」と、北野武監督の型にはまらない手腕を絶賛している。

常に新しいものを、自分の撮りたい作品を撮る、映画作りに向かわせる原動力について北野武監督は「映画は100年ちょっとの歴史の中であまり変化していないけれど、絵画の世界で写実的な絵が抽象画になる動きがあったり、キュビズム(前衛美術運動)が生まれたように、映画もそっちの方向にじゃんじゃん転がっていってもいいんじゃないかなと思っていて」と考えを語っており、「『気狂いピエロ』(1965年)をあの時代に発表して、映画の作り方を一新させたジャン=リュック・ゴダールみたいなひっくり返し方で、映画はもっともっと進化しなきゃおかしい」と、映画という芸術の可能性について言及している。

その上で北野武監督は、自身が目指す映画作りには【既存の常識をぶっ壊してスゴい映画を作る】という想いが根底にあると語っている。

「ピカソの絵なんか見ちゃうと、風景画や写実的な絵の何がいいんだ?って思うよね。それと同じ感覚になるような映画を作りたいという想いが、ずっと続いているんだよ」

“常識を破壊し、スゴい映画を作る”という原動力で、映画を撮り続ける北野武監督。常に世界中を驚かせてきた監督の最新作となる『首』は、そんな監督の想いが込もった集大成と呼べる作品だ。これまでの概念や常識が通用しない本作を、スクリーンで目撃しよう。

【映画『首』劇場プログラム】

収録内容:作品紹介、キャラクター紹介や人物相関図、北野監督・キャストインタビューに加え、北野組を支えるスタッフの秘蔵インタビュー、カンヌ国際映画祭のレポート、映画評論家レビュー、歴史著作家による時代背景解説、上映劇場で販売するグッズの紹介など、豪華オールカラー52ページ。

販売価格:990円(税込)
販売場所:上映劇場にて

『首』は2023年11月23日(木・祝)より全国公開

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