小中の欠員解消へ、ペーパーティーチャー採用に力 大分県教委、6月以降6人採用【大分県】

書写の授業で書き方を教える佐藤まきこさん=7日、由布市挾間町向原の挾間小

 大分県教委は教員免許を持ちながら教職に就いていない「ペーパーティーチャー」の採用に力を入れている。県内の公立小中は教員の欠員に悩む。かつて学校現場を目指した人の関心を呼び覚まし、人手不足の解消につなげる狙いがある。初めて説明会を開いた6月以降、参加者のうち6人を採用した。教育人事課は「仕事のやりがいをアピールして、少しでも希望者を増やしたい」と話している。

 ペーパーティーチャーは自動車免許を持っていても運転しない「ペーパードライバー」になぞらえた言葉。国は昨年7月、10年ごとの教員免許更新制度を廃止。有効期限が切れていても非常勤講師や臨時講師として採用できるようになったことで注目が高まった。教員不足が深刻な全国の自治体が活用を探っている。

 県教委が今年6月に大分市で開いた説明会には約80人が参加した。年齢制限がないことや、教員の働き方改革の取り組みなどを担当者が紹介。「想定より多くの人に参加してもらえた。関心の高さがうかがえた」(教育人事課)という。

 由布市挾間町の挾間小で8月から非常勤講師として働く佐藤まきこさん(62)は、説明会をきっかけに志望した1人。約40年前に中学体育の教員免許を取ったものの、化粧品関連の仕事に携わり、学校現場の経験はなかった。

 「子どもが好きで、教壇に立ってみたいという気持ちを思い出した。年齢制限がないことが大きかった」。主に3、4年の体育や書写、図工の授業を担当し、給食や掃除の指導もする。勤務時間は体力を考え、午前10時半~午後3時にした。「充実した時間を過ごせている」と語る。

 県内の公立小中は4月時点で45人の欠員が生じている。内訳は小学校27人、中学校18人。49人が不足していた昨年からは改善したものの、依然として人材の掘り起こしが課題となっている。

 県教委は12月9日午前10時から、大分市旦野原の県教育センターでペーパーティーチャーに関する2回目の説明会を開く。オンラインでも参加できる。

<メモ>

 大分県教委によると、県内で教員免許を持つ人の総数は不明。ペーパーティーチャーには教職を離れた人も含まれる。採用は面接で決まり、「勤務時間や勤務地は柔軟に対応する」(県教委)という。説明会の問い合わせは教育人事課(097.506.5439)。

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