運送業の働き方改革で意見交換 効率化実現、山形陸運が事例報告

運送業の働き方改革について長時間労働削減などの実践例を共有した意見交換会=山形市・山形労働局

 山形労働局や山形運輸支局、山形陸運(山形市、佐藤公啓社長)などによる働き方改革に関する意見交換会が20日、山形市の山形労働局で開かれた。山形陸運が荷主との協議に基づく運送条件の改定、デジタル化による業務効率化を実現し、運転手の拘束時間と残業時間の削減につなげた事例を報告した。これを受けて各機関が意見を交わした。

 同社は本年度、働き方改革に積極的なベストプラクティス企業に選ばれた。恒常的な残業を要する荷主都合の運行から同社と協議した上での運行に変え、少量多頻度運行や荷主による到着時間指定も見直し、労働時間を削減。休日を増やして待遇改善も実現した。

 運賃交渉では2020年度に設けられた標準的運賃告示制度が役立ち、条件変更でも丁寧な交渉を重ねて荷主の理解を得たという。佐藤社長は「適切な運賃を頂ければ運転手に給与として還元でき、残業を減らすことで人手を確保できる」と語った。

 労働局からは、長時間労働の主因として取引先都合による荷待ち時間の発生が示された。残業規制強化に伴い運転手不足が懸念される「2024年問題」を見据え、県トラック協会の熊沢貞二会長は「対策の実効性を不安視する会員は多い。事業者は存続の岐路に立っている」と指摘した。下請け事業者の声を吸い上げる重要性も強調した。

 運送業を取り巻く課題の解決例や長時間労働の改善例を共有し、問題解決の機運を高めようと同労働局が開き、10人が出席した。

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