猛暑影響、イチゴ狩りにも 寒河江の観光園、来年1月に開園延期

暑さで苗が枯れてしまい、植え替えたために生育に遅れが生じている観光イチゴ園=寒河江市・ストロベリーファーム

 寒河江市の冬季の代表的な観光メニューであるイチゴ狩りが、記録的な猛暑の影響を受けている。秋になっても気温が下がらずに一部の苗が枯れ、苗の植え替えで全体的に生育が遅れている。観光イチゴ園のオープンは、例年の12月から来年1月に先延ばしとなる見通しだ。関係者は「期間が後ろにずれてしまうが、多くの人に訪れてほしい」と話している。

 同市の観光イチゴ園はストロベリーファーム(高屋)、いちごガーデン(八鍬)の2カ所で、例年の営業期間は12月中旬~翌年6月上旬。ストロベリーファームを経営する武田幸太郎さん(75)によると、イチゴ狩りの受け入れに先立ち、11月中旬に産地直売所への出荷が始まる。この時期は広さ約6千平方メートルのハウス内に、わせ種の赤い実が多く見られるが、今年は白い花が咲き始めの状態だ。

 暑さ対策として日よけシートを上部に張っていたが、高温の日が続く中、9月ごろから枯れる苗が相次ぎ、被害は全体の2、3割ほどに上った。武田さんは「お客さまに喜んでもらおうと、新たにわせのイチゴ2種類を追加していただけに残念だ」とうつむく。

 広さ約2500平方メートルのいちごガーデンも同様の被害に見舞われ、園主の高橋庄次郎さん(69)は「彼岸過ぎになっても気温が下がらず、花芽が育たなかった。自然が相手では仕方がない」と硬い表情だった。

 イチゴ狩りの予約を受け付けている市周年観光農業推進協議会によると、昨シーズンの来園者は両施設で延べ約1万人。新型コロナウイルス禍前は約1万5千人が訪れた人気のスポットで、1割ほどを台湾や東南アジアなど外国人観光客が占めた。今回の事態を受け、同協議会は12月の申し込み10件ほどを断っており、ほとんどがインバウンド(訪日客)のツアーだったという。

 両施設とも、気温の低下とともに生育自体は着実に進み、余分な葉や茎を摘み取る作業が行われている。武田さんは「管理に注意し、オープン後は出遅れを挽回したい」と表情を引き締めた。

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