田子ニンニク(青森県)の貯蔵冷蔵庫不調、一部発根も ブランド維持に農家危機感

CA冷蔵庫の産業民生常任委のメンバーら

 全国ブランド・田子ニンニクの通年出荷を可能にした青森県田子町の「にんにく専用CA冷蔵庫」の不調で、一部ニンニクで根が出るなどし、農家に懸念が広がっている。設備の経年劣化と今夏の暑さが影響しているとみられるが原因は調査中。現時点で農協経由の本年産ニンニク販売に影響はないというが、大規模改修は避けられない情勢。農家への補償問題となる可能性もあり「ブランドの危機」と不安感を口にする農業者もいる。

 同冷蔵庫は町が整備し八戸農協が指定管理者となる「公設民営」設備で、2002年に通年出荷、安定供給、品質劣化防止を目的に同町田子釜渕平に付帯施設も含め約3億4千万円をかけ整備した。収容能力は350トン。町によると10年ほど前から不調等があり、年間500万~600万円ほどかけメンテナンスを行ってきた。最高気温33度が1週間弱続くことを想定し庫内温度氷点下2~同3度と設定しているが、今夏は連日35度を超え、夜間も気温が高く、同農協の担当者によると最高で10度まで庫内温度が上がったという。現在は想定温度まで下がった。

 同冷蔵庫は町内の87農家が利用しており、出荷するニンニクのうち3~9割に根が出ているという。17日には農家対象の説明会を行ったが、参加農家によると、補償を求める声が相次いだ。販売形態が農協出荷のほか直接販売、ネット販売など混在、町は「一概に補償額を決めることは難しい」として算定方法を検討している。

 20日には町議会産業民生常任委員会のメンバーが施設を視察、同委員の尾形憲男副議長は「新年度着手では間に合わず、補正予算を考えなくてはならないのでは。来年度の収穫、搬入時には間に合わせてもらいたい」と強く要望。冷蔵に使用しているフロンを環境対応のものに入れ替える必要もあり、白板大幸町産業振興課長は「メーカーの提案を踏まえ、財源等も検討しながら来年の収穫に間に合わせる必要がある」との認識を示した。

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