負傷隊員を待機所から航空輸送 米軍が導入する「アーパス」手法 自衛隊、空自那覇基地で初訓練【動画あり】

 自衛隊は19日、負傷した隊員を戦地から離れた沖縄県外へ後方搬送する訓練を航空自衛隊那覇基地で報道各社に公開した。米軍が導入する、負傷兵を一時待機施設に集めて目的地へ航空輸送する「アーパス(ERPSS)」という手法を取り入れた。県内でのアーパスの訓練は初めて。

 アーパスは「En Route Patient Staging System」の頭文字。訓練では一時待機施設を滑走路近くに設け、自衛隊の医療従事者が自衛隊那覇病院から運ばれてきた負傷隊員が航空輸送に耐えられる状態か問診。搭乗手続きを含め、一連の流れを確認した。

 空自C2輸送機で埼玉県にある空自入間基地へ向かった。負傷患者30人を担架で輸送機に搬送し、離陸するまで約1時間だった。

 陸上幕僚監部は、自衛隊にはアーパスの仕組みがないことから、訓練を通して一時待機所の設置が有益であると判断した場合は、導入する意向を示した。

 10日から沖縄を含む全国で展開する2023年度自衛隊統合演習(JX)の一環。20日で全日程が終了した。統合の実動演習は今回で9回目。全国で自衛隊約3万800人が参加。米陸海空軍や海兵隊約1万200人も加わった。(政経部・山城響)

訓練で、一時待機所から担架に乗せた負傷隊員を空自C2輸送機に運ぶ自衛隊員ら=19日、航空自衛隊那覇基地

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