JRP、再生可能原料比率を高めた4種類のレインタイヤをもてぎでテスト「昨年に比べ、一段レベルアップした」と塚越広大

 株式会社⽇本レースプロモーション(JRP)は11⽉21⽇、今シーズン2回⽬となるスーパーフォーミュラのカーボンニュートラル開発テスト(CN開発テスト)を栃⽊県のモビリティリゾートもてぎで実施した。

 JRPは『SUPER FORMULA NEXT50(ネクストゴー)』プロジェクトを通じ『カーボンニュートラルへの対応』と『エンターテインメント性の向上』のふたつをテーマに、昨年⼀年間、メーカーの垣根を越えてCN開発テストを繰り返し実施し、得られた知⾒を活かした新型マシン『SF23』を今季から実戦に投入した。

 SF23では原材料ならびに製造過程でのCO2排出量を約75%抑制したBcomp社のバイオコンポジット素材や、天然由来の配合剤やリサイクル素材等、再⽣可能原料を活⽤した横浜ゴムの『カーボンニュートラル対応レーシングタイヤ』が採用されている。

 9⽉に行われた2023年第1回のテストでは、さらに再⽣可能原料の⽐率を⾼めたレーシングタイヤを投入。今回は同じく⽐率を⾼めたレインタイヤでのウエット路⾯⾛⾏テストを実施した。

2023年の第2回となるスーパーフォーミュラCN開発テストに持ち込まれたレインタイヤ

 21日のモビリティリゾートもてぎは好天に恵まれたことから、散水車により貯水がコース上に撒かれたうえで、走行が実施された。

 開発テストにはWhite Tiger SF23(通称『⽩寅』)とRed Tiger SF23(『⾚寅』)が参加。前回のテスト同様、⽩寅は塚越広⼤、⾚寅は⾼星明誠が開発ドライバーを担当した。

 今回のテストにはコンパウンドの違う4種類のレインタイヤが持ち込まれ、午前のテストでそれぞれショートランを⾏い評価。午後にはロングランが行われた。

 メインストレートから第3コーナーまでの区間を⾛⾏しない東コース(1周3.422 km。フルコース1周は4.801 km)を使⽤してのテストでは、午前の2時間30分のセッションで⽩寅が56周、⾚寅が54周、午後の2時間30分のセッションでは残り30分を残したところで塚越の⽩寅に駆動系の違和感があり⾛⾏を中断したが、それでも47周を⾛⾏。高星の赤寅は68周と順調に⾛⾏を重ね、コンパウンド及びケーシングの評価を⾏った。

⾼星明誠がドライブした『赤寅』

 JRPは「CN開発テストを通して得られた知⾒を活かし、今後もカーボンニュートラルとエンターテインメントの向上に向けた活動を継続してまいります」としている。

■塚越広⼤コメント

「昨年に引き続きレインタイヤのテストを担当させていただきました。昨年は初めての試みでしたので、正直不安が⼤きかったのですが、今回はすでに実績があるので⼀段レベルアップした有意義なテストになったのかなと思います」

「今年使⽤しているレギュラーのレインタイヤと⽐較して、良いものも⾒つかりましたし、将来に向けて可能性が感じられるものもあったので、散⽔ではなく、⾃然な⾬量で、なおかつ他のサーキット、他の気候でもテストができるともっと進化するのではないか、と思います」

塚越広大

■⾼星明誠コメント

「今年はスーパーフォーミュラのレースをウォッチしていましたが、レギュラーのレインタイヤのパフォーマンスに少し不安を感じていたんです」

「今⽇実際に最初にレギュラーで⾛り出したのですが、思っていた以上にある程度グリップも出ているな、と感じました。そこから今回⽤意されたテストタイヤに移ったのですが、4種類履いた上で、『横浜タイヤの開発の可能性はすごく⼤きな幅で持っているな』と感じることができました」

「今後に向けてどれくらいの時間が必要かはわかりませんが、今の開発の延⻑上に素晴らしいタイヤが待っていると感じています」

⾼星明誠
ウエットタイヤテストのための散水作業の様子

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