災害時の断水に備えて安全な水を確保 新しい貯水槽を開発 マンションや病院などに 法定点検や清掃が不要=静岡【わたしの防災】

大規模な災害による断水に備えて、大量の水を衛生的に貯めておけるマンション用の新たな貯水槽が開発されました。

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病院や介護施設、学校など、水が欠かせない施設の備えにも活用が期待されています。

<武前愛香記者>
「こちらが今まであった課題を解決することができる、新しい形の非常用貯水槽です」

静岡市清水区のカナサシテクノサービスが開発した貯水槽には、10トンの水を貯めることができます。

約1000人の3日分の飲み水に相当します。

主にマンション用の製品ですが、今までの貯水槽とは大きな違いがあります。

<カナサシテクノサービス 鍋田昌邦さん>
「空気にふれない状態のまま、おいしい安全な水が蛇口まで提供できるメリットを持ちつつ、災害時の貯水機能を持たせることができる」

こちらはマンション用の従来の貯水槽です。

屋外に「受水槽」がある「貯水槽式」と呼ばれます。

受水槽に貯まった水をポンプなどを使って各階に給水します。

受水槽に水が貯まっているため、災害時に水道がストップしても、しばらくの間は水が使えるメリットがあります。

しかし、定期的な点検や清掃が欠かせません。

そこで、衛生面の問題を解決するために普及したのが「直結式」です。

受水槽がなく、水道管から蛇口まで直接、水を届けます。

ただ、水を貯められないので断水時には使えません。

2022年9月、県内を襲った台風15号による災害では、静岡市清水区で大規模な断水が発生しました。

<カナサシテクノサービス 武田孝之社長>
「水というのはライフラインの中で一番重要。これで水を住民、病院の方々が自分でまかなってくれれば行政は違うこと、もっと大切なことをやれるようになる」

衛生的に水を貯められる、災害時にも役立つ貯水槽を作りたい。

そうした思いから開発されたのが水道管と直接つながる「非常用貯水槽」です。

カナサシテクノサービスは、静岡県内で防火水槽などの製造販売を行う会社で、10年かけて全国で初めて開発しました。

<カナサシテクノサービス 武田孝之社長>
「この水槽があることで、給水車を待たず、住民自らが水槽から水をくみ上げて供給できる」

メリットは▼断水時にも貯まった水が使えること。▼地下に埋めて水道管と直結するため、空気に触れず常に水が入れ替わることから点検や清掃が不要なこと。

これまでのデメリットを解消しました。

さらに、従来の貯水槽は地震による激しい揺れで壊れる恐れがありました。

新しい貯水槽は、東日本大震災クラスの揺れにも耐えられる強さで設計されています。

<カナサシテクノサービス 武田孝之社長>
「病院、介護施設、または保育園や学校など、そういった方に理解していただき、広めていきたい」

新しい貯水槽は、まだ設置されていませんがマンションやビルなどを設計、販売する会社から問い合わせが多いといいます。

今後は、ユーザーの要望に合わせて容量を増やすなどの改良を重ねていく方針です。

静岡県は、地震や台風、大雨など様々な災害のリスクを抱えています。

そんな「静岡」から新しい貯水槽を全国に発信し、生活に欠かせない「水」の備えについて考えてもらいたいと開発した会社は考えています。

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