立民と維新が旧統一教会の財産保全法案共同提出 長妻昭氏「教団と与党は言っていることが同じ」

立憲民主党と日本維新の会は21日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた財産保全法案を一本化し、衆院に提出した。自民、公明、国民民主の3党が共同提出した特例法案に対し、裁判所による旧統一教会の財産保全を可能にすることが柱だ。

立民の長妻昭政調会長(63)は法案提出後、記者団に「財産保全は必要だと世論調査でも8割の方が思っている。本当にその通りだと思う。野党第1党と第2党が、国会での大勢力を結集して、与党に我が党の案を飲み込んでもらう。少なくとも財産保全ということはあっていただかないと。被害者の思いを届けるために、この法案を提出した」と、不退転の決意を見せた。

同党の柚木(ゆのき)道義衆院議員(51)は「与党の法案ではないよりマシでも、1億円2億円の預託金を、老後の財産を根こそぎはがされた人が払えるか。そもそも5年も10年もかかる裁判、生きていられるのか。財産保全を含む法案が成立しなければ、被害者救済の道が断たれるのではないかと危惧している。本当の意味で被害者救済につながる財産保全を行うこの法律の成立を目指していきたい」と危機感をつのらせた。

自公国が共同提出した特例法案は、教団に不動産処分時の事前通知を義務づけることなどを盛り込んだが、立民の山井(やまのい)和則衆院議員(61)は「1000億円近い財産が韓国から他の団体に移されるということは目に見えている。報告義務があると言うが、報告さえすれば1000億の資産を移していいということですから、歯止めにはならない」と訴えた。

長妻氏は「財産保全の法律をつくらない理由がわからない。与党が一部の野党を取り込んで、そのまま超特急で採決して成立させて、もうおしまいという危機感がある。心ある野党がまとまらないと流れを変えることができない。他の野党にも賛同を呼びかける」と、維新との共闘を価値を強調した。

財産保全の違憲性を問う声にも、長妻氏は「理解できない。この法案が通れば、財産保全命令請求というのを東京地裁に出す。裁判所で審議をして、高裁あるいは最高裁に行く。最高裁の判断が憲法違反の判断をするわけないじゃないですか」と反論した。

山井氏は「なぜ被害者がこれだけ切望している財産保全法を、なぜ自民党が阻止しようとしているのかわからない。(財産保全は必要ないという)要望を言っているのは、統一教会だけ」といぶかる。長妻氏は「統一教会が反対の趣旨をおっしゃっていて、その理屈も与党と重なっている。言っていることが同じに私は見える。偶然であってほしいと思うんですけれども、そういう理由でこういうことがなされているとすれば、ちょっととんでもない話。そうではないと信じたい」とけん制した。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

© 株式会社神戸新聞社