食事量半分しか提供せず かほくのグループホーム「一梅縁」虐待、介護放棄と判断

既に運営を取りやめ、人影がないグループホーム「一梅縁」=21日、かほく市宇野気

  ●市が事業指定取り消し 入居の21人、別施設へ

 かほく市は21日、入居する認知症高齢者の食事を意図的に減らす虐待を行っていたとして、同市宇野気のグループホーム「一梅縁(かずうめえん)」の事業指定を取り消す行政処分を行った。市によると、国の食事摂取基準の半分の量しか提供しておらず、入居者の介護を放棄、放任した重大な人格尊重義務違反があったと判断した。石川県によると、同様の事案での指定取り消しは県内初という。

 市は今年5月初旬、「入居者に適正な量の食事を提供していない」との情報提供を受け、同月15日、介護保険法に基づく施設の監査を実施。一梅縁が意図的に、全入居者の朝、昼、夕の三食に必要な量の半分程度の食材しか業者から仕入れていないことなどを確認した。監査当時、75歳以上の21人が入居していた。

 さらに9月に別の監査を行った際にも食事量の改善は見られず、施設管理者の指示で、生命に危害を及ぼす重大な違反が常習的に行われてきたと断定した。

  ●体重減報告せず

 また、入居者の健康状態などを示す帳簿書類や、入居者の体重が減っているのに報告せず、報告に虚偽があったとし、介護保険法に基づく最も重い処分に踏み切った。

 一梅縁は、旧宇ノ気町で初のグループホームとして、2003年10月から株式会社「内邦(ないほう)福祉会」が運営してきた。市は10月下旬に入居者全員を市内の別の福祉施設に移して安全を確保したとしており、一梅縁は既に運営を取りやめている。

  ●社長「適正量だと」

 行政処分により同会は今後5年間グループホームの運営はできない。内田邦夫社長は取材に「食事は適正な量だと思っていた。処分を受け入れる」と話した。

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