【MLB】カージナルスがギブソン獲得で連日の先発補強 山本やヌートバーの去就に影響も? 

写真:カイル・ギブソン

現地21日、カージナルスがオリオールズからFAとなっていたカイル・ギブソンと1年契約を結んだと、米各メディアが報じた。

契約は現時点で明らかになっている限りでは、年俸1200万ドルに来季の球団オプションが付くとのこと。カージナルスは前日にもランス・リンと1年1100万ドルで契約したばかりだ。

36歳のベテランであるギブソンは、今シーズン192回を投げ抜いた現役屈指のワークホース。今シーズンは防御率こそ4.73と一見平凡だが、上位25%に入る四球の少なさ、そして上位19%に入るゴロ打球の多さ(被弾の少なさ)で、総合指標fWARは2.6と優秀だった。この数字と昨今では珍しくなってきた長いイニングを投げられるタフさを考えれば、1200万ドルという年俸はお買い得な部類に入るだろう。

今シーズン優勝候補に挙げられながら、まさかのプレーオフ逸を喫したカージナルスは、投手補強が急務だった。

ジョン・モゼラック編成本部長はGMミーティングにて「少なくとも2人の先発投手を加えたい」と『ジ・アスレチック』に語っていたが、オフシーズン早々にこの課題をクリアしたことになった。

しかし、ギブソンとリン(今シーズンは防御率5.73)を獲得しても、先発ローテーションはコンテンダーとしては迫力不足が否めない。序列としては1番手となるであろうマイルズ・マイコラス、そしてスティーブン・マッツ、ザック・トンプソン、マシュー・リベラトーアの3人が残りの先発の面々。マイコラス、ギブソン、リンの3人はイニングイーターとしての務めは果たせそうだが、エースの役目を追わせるのは酷だろう。

カージナルスは、フィリーズと再契約したアーロン・ノラ、そして今日から正式にポスティングの交渉スタートとなる山本由伸といった大物の獲得も噂されている。ただ、カージナルスは予算的制約とも向き合わなければならない。

『Cot's Baseball Contract』を参照すると、カージナルスの現在の年俸総額(ペイロール)は、ギブソンの契約を足すとおよそ1億6000万ドルとなる。カージナルスは今シーズン開幕時のおよそ1億7600万ドルが球団史上最高額のペイロールであり、残りの資金はそこまで潤沢ではないだろう。

マイナー上層では有望株の投手がことごとく苦戦し、デプスが薄いカージナルスにとっては、イニングを消化できるギブソンとリンの確保は賢明な動きだった。しかし、ブルペンの補強も必要な中、これ以上FAの先発投手市場に留まるのは難しいだろう。激しい争奪戦が予想される山本やア・リーグサイ・ヤング賞2位のソニー・グレイとの契約は考えにくくなったと見るべきかもしれない。

幸いなことにカージナルスは野手層が分厚く、トレードの弾には事欠かない。中軸に成長したラーズ・ヌートバーの放出は考えにくいかもしれないが、タイラー・オニールやディラン・カールソン、アレク・バーレソンらの外野手はトレードの噂が出ている。

FA市場で電撃補強を見せたカージナルスだが、今度はトレード市場で補強に打って出るかもしれない。

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