政府が少子化対策に本腰…「両親とも育休14日で手取り10割」で本当に問題は解消するのか?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。11月14日(火)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、政府が進める“育休給付の拡充策”について意見を交わしました。

◆まだまだ進まない、男性の育児休暇取得

厚生労働省は両親ともに育児休業を14日以上取った場合、受給できる育児休業給付を現在の手取り実質8割から10割に増やすことを盛り込んだ育休給付の拡充策の詳細案を示しました。この制度は2025年度から開始するとしています。

今回の拡充策では、現在育休を取得する男性の約5割が2週間未満しか取っていない実態を踏まえ、条件を14日以上に。男性の「産後パパ育休」取得を促すとともに、育児中の家庭の経済的な負担を軽減させるのが狙いです。

男性の育休取得率を見ると、2022年の時点で17.13%とまだまだ普及していない状況が伺えるものの、政府のこども未来戦略方針の目標としては2025年に50%、2030年度には85%となっています。

今回の拡充策について、株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは「育休取得率低下の原因の第1位は給料の低下。その不安から取得が進んでいないので、手取り10割が保証されるのは一定の効果があると思う」と評価。その一方で、気になる点として2つのポイントを挙げます。

1つは、育休を取得した男性が本当に家で育児・家事をしているのかどうか。男性の育休が普及しても夫婦間での負担が変わらなければ意味がありません。そして、もう1つは、育休取得者の周囲の負担。大企業であれば1人が育休を取得してもなんとかなるかもしれませんが、中小企業、なかでも10名以下の企業となると人員が1人減るだけで死活問題とあって「その辺りも含めて議論したほうがいい」と案じます。

経済ジャーナリストの荻原博子さんは、神保さんの意見に同意しつつも、「政府がやるならもっとドンっとやらないと。細かくは見られない」とやるなら一気呵成にやるべきと主張。そして、男性の育休が促進した後には神保さんが言うようなケア、さらなる深掘りをしっかりと行うべきと補足。

◆フランスに比べて遅すぎる、日本の少子化対策

番組SNSには、「さまざまな少子化対策で出生率が増えたエビデンスってあるのかな?」との投稿が寄せられ、これに対しキャスターの堀潤は、日本維新の会のえびさわ由紀さんが自身のブログでまとめた記事を紹介。

そこには各国の状況が記され、例えばフランスでは1960年代には出生率が3近くあったものが減少。1に近づいた局面でさまざまな手を打ったそうで、そこで行われていたのが今回、日本で議論されているような支援策の拡充。子どもの人数に比例して減税したり、いわゆる母子世帯・父子世帯など2人世帯への手当てを拡充し、結果として出生率は上昇したそうです。

つまり、今、日本で議論しているようなことをフランスでは20年以上も前から取り組んでおり、その事実に神保さんは「(日本は)かなり遅い」と悲嘆しつつ、「ただ、遅いと嘆いていても何も変わらないので、先進国の事例を参考にしながら、それを日本流にアレンジして拡充策をどんどん進めていくしかない」と言います。

荻原さんは、フランスと日本の違いについて言及。「日本は"子どもは家庭で育てなさい”というが、フランスは"子どもは国の宝”というスタンス。だから、婚外子も普通に認めているし、シングルマザーも普通に働ける。そういう社会を作らなければ子どもは減る」と日本の風潮を危惧します。

Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは日本の子育て環境に疑問があるようで、支援策に関して「少子化対策なのか、子育て支援なのか、それがごちゃごちゃになると歯車が合わなくなる」と懸念。加えて、「労働力を増やしたいというのであれば、少子化対策だけでなく、移民を入れるなどいろいろ方法はあると思う」とも。

また、黒部さん自身、現状では子どもを産みたいという気持ちが湧かないと言い、「もしも子どもが育てやすい環境に変わっていけば、気持ちが変わっていくかもしれない。これは長期的な問題で、その歯車を合わせていくことが必要」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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