にぎわい定着「天面山祭り」40年 大分市竹中地区、ふるさとづくりの願い込め【大分県】

祭りは大南地域や別府湾を望むことができるロケーションの中で開催
山頂の会場で軽やかな音色を響かせる大分豊府高吹奏楽部
山頂にある休憩所の板間を舞台に、「五方礼始」を舞う上戸次子ども神楽クラブ

 【大分】大分市竹中地区の天面山(403メートル)で毎年開かれている「天面山祭り」が40年目を迎えた。ふるさとづくりの願いを込めて地区民たちが手作りで始め、2007年からは「大野川合戦まつり」の2日目の行事として定着。日頃は静かな山頂に今年も神楽や吹奏楽のにぎやかな音色が響き渡った。

 かつて山頂には天面山城があった。1586年の「戸次川の合戦」で薩摩の島津軍に攻められ、落城したが、今でも本丸や二の丸跡が残る。山頂近くまで林道が通ったのを機に、「由緒ある古里の山を舞台に祭りを起こそう」と自治会を中心に地区を挙げて準備。1984年に第1回を開いた。

 初回から関わる首藤孝信さん(72)=竹中地域づくり協議会事務局長=は「舞台は仮設、ポスターもみんなで手書きした。地区は天面山の周囲に自治区が点在する。祭りが各区とのつながりができるきっかけにもなった」と振り返る。

 12日にあった祭りでは、地元の伊与床五柱神社神楽社(市無形民俗文化財)、上戸次子ども神楽クラブが勇壮に舞った。2016年から花を添える大分豊府高吹奏楽部は、新型コロナウイルスの影響などで4年ぶりの出演。アニメの楽曲などを軽快に奏でた。

 会場では住民有志の会がおにぎりや焼き鳥、餅を販売。来場者に餅つきも楽しんでもらい、つきたてを振る舞った。

 地区は過疎・高齢化が進む。校区自治会連合会の三ケ尻文則会長(82)は「神楽社をはじめ皆さんの協力があるからこそ開催できている。竹中の芸能を継承し、見晴らしのいい天面山や地区を多くの人に知ってもらうためにも、何とか続けていきたい」と話した。

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