【ソン・シギョン】PSYとの爆笑エピソードも! 待望の日本新アルバムリリース【インタビュー】

ソン・シギョン 撮影:川野結李歌

バラードの皇帝、ソン・シギョンが11月22日、待望のニュー・アルバム『こんなに君を』をリリースした。キングレコード移籍第一弾となる今作の表題曲は作詩:松井五郎、作曲:PSYと話題性抜群! ナオル(Brown Eyed Soul)とのコラボ・ソング『束の間でも僕たち』は、韓国で先行公開され、そのPVは2日間で100万ビューをゲットするほどに大ヒット。ほかにも珠玉のバラードがずらり並び、この作品から彼の日本での新たな歩みが始まる。ここでは制作の背景をとことん深掘りし、連載インタビューで密着してきた『韓流ぴあ』だからこその秘話をお届けします!

――今回のアルバムは、キングレコード移籍第1弾ですね。

「昔は早く勝負して結果を出そうと焦ってたけど、このアルバムで終わるわけじゃないから、じっくりやっていきたい。この作品でまた一歩踏み出せたと思います」

――レコーディングは韓国で行われたそうですね。スタジオに日本人のディレクターが同席し、発音のチェックをしながら、という感じですか?

「いえ、レコーディング後、すぐにデータを日本に送って、発音をチェックしてもらって。以前は発音の自信がなかったので、かつてのアルバムを聴くと『足りないな』と思う点もあるけど、今は大分、良くなってると思います」

――リード曲『こんなに君を』ができるまでの経緯をお聞かせください。

「4月の下旬に、PSYさん、松井さんとズームで打ち合わせをしたんですが、PSYさんは松井さんを全く知らないから、新人の作詩家に接する感じで『この曲はこういう風に』とすごい勢いで話して。途中から『最初、男女がお互いを見つめあって、途中、赤と青のコントラストがあって、その色が見えるように書いてほしい』と、どんどん抽象的な表現になったので、松井さんも困っちゃって。ミーティング後、『松井さんって<悲しみにさよなら>を書いた有名な人だよ』と教えてあげたら、『えっ、早く教えろよ! 大変失礼しました』って(笑)。作詩をお願いする時って、自分が描いたイメージを伝えて書いてもらうか、それとも、作詩家を信じて委ねるかでしょ。PSYさんは自分でも詞を書くから、こだわりがあって、前者。でも『自分の好きな曲を書いてらっしゃる有名な方なら、最初からお任せすべきだった』と言ってました」

――完成した曲を聴いて、PSYさんはどのような感想を?

「彼は自分の曲が大好きで、この曲も『めちゃくちゃいい、名曲だ』って、今も毎日聴いてるみたい。PSYさんは聴き手を興奮させるアップテンポの曲がメインでしょ。でも、イ・スンギの曲とか、バラードもたくさん書いてきた。ただ、PSYのメロディは覚えやすくて、歌い手としては恥ずかしくなっちゃう。そう伝えると、『あいまいに恥ずかしく書くからダメなんであって、明らかに恥ずかしく書けば、恥ずかしくないし、それが大衆音楽だよ』って。だから、PSYさんの覚えやすいメロディに、いい詞がつけば、すごくいい曲になると思ったわけ。PSYさんの韓国語の歌詞だと、ちょっと抵抗があるし、僕が歌っても、イ・スンギさんのバラードになる。松井さんがいたから、PSYさんとやりたかったんです」

――『Kaleidoscope』はアルバム中唯一、完全日本制作のJ-POPチューンです。

「30曲のデモ曲から選んだ1曲で、新たな挑戦として楽しかったです」

ソン・シギョン 撮影:川野結李歌

――シギョンさんが作曲し、松井さんが作詩された『ただ...』はとてもエレガントなバラードです。

「書いたのは1年前くらい。感情的に聴こえる、きれいなメロディだけど、頭できちんと考えた曲で、デモの段階できちんと完成していました。ただ、タイトル曲にはなれない。人気を享受しなくても、ファンが喜んでくれればいい……自分のアルバムだからできる、贅沢な曲です」

――”一緒にいても寂しい”というシーンが切ないですね。

「松井さんが書いた詩の世界の主人公になりきって歌いました。この年になると、いろんな経験をしているから、いろんな歌詞が歌えるようになるでしょ。満たせない自分の寂しさとか、隣にその人がいて愛を確かめても『これからどうなるんだろう』という不安とか。21歳で歌えば、嘘になるけど、今の年では、いろんな歌詞が歌えるようになりますね」

――ズバリ今、「ただ...○○」と思うことは何でしょう?

「ただ...休みたいですね(笑)」

――ナオルさんとのコラボ曲『束の間でも僕たち』はリリースから2日間で100万ビューを達成しました。

「ユーチューブの人気急上昇音楽の1、2位にもなって、うれしいですね。韓国の代表的なチャート、メロンチャートでも1位になりましたが、すぐアイドルに追い抜かれちゃう。アイドルのファンは一斉にストリームするから勝てっこないし、そうしたチャートで勝っても意味がない。一方、ユーチューブの数字はもっと世間一般の反応だからうれしいんです。作詞は韓国の伝説的な作詩家、パク・ジュヨンさんにお願いしました。いただいた詞も手書きで、久しぶりの経験でしたね。『詞が今の若い人には合わないんじゃない?』って心配されてましたが、結果、成功しました。『シギョン君、私の子たちが大きくなってから、初めて発表する歌で、子どもたちはやっとお母さんの仕事を理解してくれて、すごく気持ちがいい。ソウルに行ったら、おいしいワインをご馳走するね』と連絡をいただいて。ストリングスもアメリカ在住の韓国トップクラスの弦楽器奏者にお願いして。アメリカでのレコーディングなので、費用もかかりましたが、そこは惜しみませんでした」

――本来、日本のアルバム用の曲でしたが、PSYさんから「韓国でシングルとして出すべき」とのアドバイスがあったとか?

「『お前とナオルのデュエットなら韓国でバズると思う』って。僕もそう思ったし、この曲でヒット曲を出すのもいいんじゃないかなって。『こんなに君を』にはいい曲がいっぱいあったし。もしかしたら、PSYさんは『もし、ナオルとの曲が日本語バージョンになれば、そっちがタイトル曲になる』と考え、自分の曲をタイトル曲にしたいから、『ナオルとの曲を韓国向けのシングルにすれば』と言ったのかも。実は僕はこの曲がすごく好きで、日本語の詞も合うから、そうしたらタイトル曲候補になる。『こんなに君を』をタイトル曲にしなかったら、PSYさんが怒るだろうなって、マジで悩んだから。だから、ナオルの曲を韓国でリリースし、PSYさんの曲を日本のタイトル曲にして、ウィンウィンになりました」

――ナオルさんと一緒にステージに立つ機会は少ないと思われます。

「本当は一緒に舞台で歌いたいけど、彼はステージに立って人に見られるのが嫌いなので、多分、できないでしょうね」

――今回はLPも発売されます。シギョンさんが今、レコードで聴く音楽はありますか?

「レコード・プレイヤーもありますが最近は使っていませんね。昔はレコードがたくさんあったけど、今は自分の8枚目の『ㅅ(シオッ)』だけ。5000枚プレスしたので、自分の誕生日、0417番のLPを持っています」

ソン・シギョンさん渾身の1枚『こんなに君を』は発売中。雑誌『韓流ぴあ』(2024年1月号、11/22発売)では、不定期連載「一見さんお断り! ソン・シギョンの日々是好日」第51回掲載。合わせてチェックを!

ソン・シギョン 撮影:川野結李歌

(韓流ぴあ/ きむ・たく)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社