12年ぶり「堤干し」 ため池の水を抜き泥除去 コイすくいや競りも 東彼杵・蕪池

手作りのザルでコイを捕まえる男性=東彼杵町蕪郷、蕪池

 農業用ため池の水を抜き、湖底にたまった泥を除去する「堤干し」が長崎県東彼東彼杵町蕪郷の蕪(かぶら)池で12年ぶりにあった。コイすくいやコイ競り、豚汁の振る舞いなどもあり、多くの見物客でにぎわった。
 標高約370メートルの高原地帯にある蕪池は1690年ごろ、大村藩士の深澤儀太夫勝幸が築いた。貯水量は39万7千トン。現在、蕪水利組合(24世帯)が管理し、約18ヘクタールの田畑を潤している。堤干しは水質改善や堤の点検、外来生物の駆除などが目的。約1カ月前から徐々に水を抜き、当日の5日朝は周囲約1.2キロの池はほぼ干上がった。
 男性たちは地下足袋に法被姿。ベテランの増川俊康さん(74)は法被姿の理由を「暴れる魚を法被の内側にしまい、抱えるようにして岸まで運ぶため」と教えてくれた。泥だらけになりながらコイを次々と捕まえると、観衆から大きな歓声が上がっていた。

コイのつかみ捕りを見守る来場者

 コイは90センチクラスを最大に約70匹。ブラックバスなどの外来魚は確認されず関係者は胸をなで下ろしたが、味がよく競りで人気のフナもいなかった。コイは約半数が競りにかけられ、落札最高額は1匹5千円。残りは翌日の湖底清掃後、池に戻された。

© 株式会社長崎新聞社