コロナ禍を経た精霊流し 「以前の形態 4年ぶり復活」 土肥原さん 今年の状況まとめ出版

今年の精霊流しについてまとめた本を手にする土肥原さん=長崎市内

 初盆を迎えた故人の霊を西方浄土に船で送り出す長崎の伝統行事「精霊流し」の今年の状況について、長崎市長崎学研究所元所長の土肥原弘久さん(65)が、「令和五年の長崎精霊流し コロナ禍と長崎の伝統行事」と題してまとめ、自費出版した。「長崎の代表的な伝統行事の一端を記録することで伝承につなげられれば」と話している。
 精霊流しに関する著作は7作目。土肥原さんは本作で、今年を「コロナ禍以前の形態が4年ぶりに復活した」とする一方、船の小型化などを挙げ「コロナ禍だけでなく、人手不足や高齢化で今まで通りの製作や運営が難しくなった。コロナ禍をきっかけに形を変えた町もあった」と指摘した。
 この他、もやい船を全て手作りで製作する数少ない自治会として夫婦川町を取り上げ、製作過程や当日の様子などを紹介。新型コロナ禍で実施した過去3年の精霊流しについて各自治会の対応も記している。
 A5判。83ページ。2千円。好文堂書店(浜町)などで販売中。県内の図書館でも読むことができる。

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