【連載コラム】第39回:2024年度殿堂入り候補者発表 アンドリュー・ジョーンズはイチローと同時に殿堂入りか

写真:楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズ ©Getty Images

2024年度のアメリカ野球殿堂入り候補者が日本時間11月21日に発表されました。前回から引き続き候補者になっているのが14人、今回から新しく候補者となったのが12人、合計26人の名前が投票用紙に載っています。記者投票は今年いっぱいで締め切られ、日本時間1月24日に結果発表。得票率75%以上で殿堂入りとなります。

MLB公式サイトでは3人の記者が今回の殿堂入り投票について議論を交わしました。今回、殿堂入りを果たすと予想されているのはエイドリアン・ベルトレイ、トッド・ヘルトン、ビリー・ワグナーの3人です。前回の投票でヘルトンは得票率72.2%、ワグナーは同68.1%を記録。当選ラインまで10%以内のところにまで迫っており、ヘルトンは6度目、ワグナーは9度目の挑戦で当選ラインの75%をクリアすることになりそうです。ベルトレイは今回が有資格1年目。通算3166安打、477本塁打、ゴールドグラブ賞5度と実績は群を抜いており、一発当選が確実視されています。

ベルトレイと同じ有資格1年目の候補者ではジョー・マウアーとチェイス・アトリーがどんな評価を受けるかという点にも注目が集まります。両者とも全盛期には各ポジション(マウアーは捕手、アトリーは二塁手)でメジャー最高の選手として君臨しましたが、ピークが短かったこともあり、安打などの積算系のスタッツではそれほど数字が伸びませんでした(マウアーは2123安打、アトリーは1885安打)。

MLB公式サイトの3人の記者の予想は「マウアーは数年後に殿堂入り、アトリーは厳しそう」というもの。マウアーは捕手として3度の首位打者という史上唯一の快挙を成し遂げており、通算2000安打のラインも超えているので、一発当選はないにしても、いずれ殿堂入りを果たすことになりそうです。アトリーは通算WARでマウアーを上回っていますが、記者投票で殿堂入りするためには、やはり積算系のスタッツが物足りないと言わざるを得ないでしょう。

また、今回の候補者26人のなかに、日本プロ野球でのプレー経験がある選手が1人だけいます。2013~14年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、球団史上初の日本一にも貢献したアンドリュー・ジョーンズです。MLB公式サイトでは「当選ラインに届かない候補者のなかで次回投票での殿堂入りに向けて大きく前進する候補者」の1人に挙げられており、有資格1年目(2018年度)の7.3%から7.5%、19.4%、33.9%、41.4%、58.1%と着実に伸ばしてきた得票率が今回は70%台前半までアップする可能性があると見られています。

アトリー同様、通算2000安打には届いていませんが(ジョーンズは1933安打)、通算434本塁打を放ち、1998年から2007年までゴールドグラブ賞を10年連続で受賞。「史上最高の守備力を持つセンター」とも言われており、今回で殿堂入りを果たすのは難しいかもしれませんが、早ければ次回(2025年度)にも殿堂入りすることになるでしょう。

次回の殿堂入り投票といえば、2019年3月の東京ドームでの開幕シリーズを最後に引退したイチローさんが有資格1年目の候補者として登場します。通算3089安打、10年連続ゴールドグラブ賞、歴代最多のシーズン262安打という実績や球界に与えたインパクトなどから、一発当選は間違いないと見られています。2025年の夏にクーパーズタウンで行われる殿堂入りセレモニーでは、イチローさんと「AJ」がそろってスピーチをするところが見られるかもしれません。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

© 株式会社SPOTV JAPAN