【インドネシア】富士フイルム、移動式X線装置102台を納入[経済]

無償資金協力の枠組みで贈与された「FDR nano」の引き渡し完了式典に出席した金杉大使(右から2人目)と、保健省のダンテ副大臣(同3人目)ら関係者=22日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

富士フイルムインドネシアは22日、インドネシアの保健省に対し、患者の回診に使える移動式のデジタルX線撮影装置「FDR nano」102台の納入を完了したと発表した。全国にある保健省傘下の公立病院で利用される。

日本政府は2020年7月、インドネシアへの政府開発援助(ODA)の無償資金協力(経済社会開発)の枠組みで保健・医療関連機材整備のために供与額20億円の支援を発表。22年10月に富士フイルムのFDR nanoが採択された。富士フイルムインドネシアによると、インドネシアにおける医療機器ソリューション領域のODAとしては最大規模になるという。

同日、首都ジャカルタのハラパンキタ病院で、引き渡し完了式典を開催。インドネシア保健省のダンテ副大臣や、金杉憲治駐インドネシア大使ら関係者が出席した。

提供された「FDR nano」には、人工知能(AI)技術を搭載している。今年4月から順次、全国にある102の病院に設置され、10月中旬に全ての設置を終えた。

富士フイルムインドネシアは今回の無償資金協力とは別に、インドネシア政府の電子調達カタログにもFDR nanoを掲載しており、すでに複数の受注実績を持つ。

富士フイルムインドネシアの山本真郷(やまもと・まさと)社長によると、FDR nanoは小型・軽量で小回りが利き、通常のX線装置に比べて放射線量が少ない上、高画質であることが病院からの支持を得ている。AI技術で病変の疑いのある部位を自動検出できることから、医師の画像診断を支援し、病気の早期発見につなげられる点も評価されているという。

ダンテ副大臣(左から2人目)に「FDR nano」の説明をする富士フイルムインドネシアの山本社長(右)=22日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

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