馳知事「今後発言しない」 機密費問題に質問集中

東京五輪の招致活動に関する自身の発言を弁明する馳知事=石川県庁

  ●県庁で会見 苦しい弁明、38回繰り返す

 内閣官房報償費(機密費)を東京五輪の招致活動に使ったと発言した馳浩知事が苦しい弁明に追われた。22日、石川県庁で開いた補正予算案の発表会見は、知事の「舌禍」に質問が集中。1時間以上続いた会見では「反省している」と殊勝な姿勢を見せ、「五輪招致に関して今後一切発言しない」との回答を38回繰り返し沈静化を図った。一方で、発言を裏付けるような当時のブログの記載を「事実」と認めたことで、新たな火種となる可能性がある。

 会見には記者19人が出席。所要1時間半のうち、補正予算案の説明を除く1時間5分が質疑応答に充てられ、手を挙げた15人全員が機密費を巡る発言をただした。

 馳氏は1人目の質問に「五輪招致に関する問題については全面撤回をした。これ以上申し上げるつもりは全くない」と言い切った。自身の発言に関わる質問については、これ以降ほぼ同じ表現で押し通した。

 その上で「多くの人に心配されている。皆さんの大切な時間を奪っていることについては反省している」と釈明。「不信感を与えたと思っている。改めておわび申し上げる」とも述べた。

 馳氏は17日の機密費発言が報道されて以降、来客や要望の場で「発言に気を付ける」「私がマイクを握ると緊張が走る」などと話している。これらの真意については「知事は発言に気を付けなければいけないという趣旨だ」と答えた。

 国政では野党が追及を強めており、衆院予算委員会で馳氏の参考人招致を求める意見が出ていることを問われると、国会で決まるとの認識を示した上で「国会運営について申し上げることは控えたい。参考人として来てほしいという連絡はない」と淡々と述べた。

 馳知事の発言を巡っては自民の県議からも苦言が相次いでいる。これに関しては「真摯に対応する。次の知事選に出ると明言しており、その時に応援してもらえるか、気を付けなければいけない問題だ」と答えた。辞任は「全く考えていない」と否定した。

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