2週間で長崎から台湾へ 旅するチョウ「アサギマダラ」 バイオパーク・伊藤園長 飛行ルート調査

伊藤園長が放ち台湾・澎湖諸島で再捕獲されたアサギマダラ(伊藤園長提供)

 長距離を渡り「旅するチョウ」として知られるアサギマダラ。長崎バイオパークの伊藤雅男園長(62)が10月に長崎市野母崎樺島町から放った1匹が、2週間後に約1400キロ離れた台湾西部の離島、澎湖(ほうこ)諸島で見つかった。研究者や愛好家らの間では、長崎県上空を飛ぶ「日本海ルート」の存在が知られており、伊藤園長は「澎湖諸島に到達か中継地点とされる説が強まってきた」としている。

 アサギマダラは羽があさぎ色(薄い藍色)で体長約10センチ。日本や台湾、韓国などに生息しており、春に北上、秋に南下する。長野県など本州からの飛行ルートは、関門海峡を通る「日本海ルート」のほか、四国などの海岸沿いから台湾へ向かう「太平洋ルート」があるとされている。
 伊藤さんは1997年から計8万5千匹超のチョウの羽に印を付けて飛行ルートを調査。今年は県内の山中から約1600匹を放った。今月9日に台湾の調査員によって再捕獲されたチョウは、10月26日に印を付けた130匹中の1匹。今回を含み台湾で見つかった12匹のうち11匹が澎湖諸島という。
 伊藤さんは「羽を傷つけながら飛んでいる姿を想像すると感動する。今後もルートについて詳しく解明したい」と話した。

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