和・唐融合様式に「へぇ~」 羽咋・妙成寺で見学ツアー

麓名誉教授(右端)から妙成寺の伽藍配置について説明を聞く一行=羽咋市滝谷町

  ●国宝指定へ機運高め

 羽咋市滝谷町の日蓮宗本山妙成寺で23日、見学ツアーが行われ、市民ら約30人が本堂や書院など重要文化財10棟を含む各建物を巡った。国宝指定の機運を高めようと市が企画し、参加者は屋根裏の装飾や柱の継ぎ跡など細部までチェック。日本と中国の様式が融合した建築美に目を見張り、ふるさとの古刹(こさつ)の歴史的価値を学んだ。

 一般財団法人北國総合研究所が事務局となって実施した妙成寺文化財総合調査で建築の調査を担当した麓(ふもと)和善氏(名古屋工大名誉教授)がガイドした。

 麓氏は妙成寺の特色の一つである、本堂、祖師堂、三光堂が横一線に並ぶ「三堂並置(へいち)」について「三堂の大きさはそれぞれ異なるが、軒の高さをそろえるなど調和を意識して建てられている」と解説した。

 建築様式にも触れ、三堂とも日本古来の「和様(わよう)」と中国など外国由来の「唐(から)様(よう)」がミックスされたデザインとなっていることを紹介。屋根を支えるための「組物(くみもの)」という構造物が典型的な唐様だと指摘し、「祖師堂の軒裏には組物がびっしりと並んでいる」と話した。

 その上で「見た目が全部同じだったら面白くない。三堂の調和を取りながら、異なる様式をうまく取り入れるのが大工の腕の見せ所だった」と説明した。

 建物内部で一行は、屋根裏や天井の構造、装飾の彫刻に関して説明を受けた。祖師堂では内陣周りの柱が継ぎ足されている点に着目。「本堂と軒先の高さを合わせるために工事途中で継いだのではないか」との麓氏の見立てに耳を傾けた。参加者も「梁(はり)に見られる溝は何か」などと盛んに質問した。

 現在修復工事が進む五重塔について、最上層の軒裏に火よけのシャチの彫刻が施されていることを教わった。

 ツアーには市内のボランティアガイド「こんちま羽咋」のメンバーも参加し、麓氏の解説を熱心にメモした。川井康子会長は「建物の様式などが大変興味深く、勉強になった。妙成寺の魅力を知り、伝えることで国宝化を応援したい」と話した。

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