全国高校ラグビー県大会決勝 長崎南山 3年ぶり全国へ 史上2度目の両校V

【決勝、長崎南山―長崎北陽台】後半24分、長崎南山のフランカー長渕が力強く前に出る=長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場

 ラグビーの第103回全国高校大会長崎県大会最終日は23日、長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場で決勝が行われ、長崎南山と長崎北陽台が26-26で引き分け、第91回大会以来史上2度目の両校優勝となった。長崎南山は6年ぶり6度目、長崎北陽台は6年連続22度目の優勝。抽選の結果、長崎南山が第100回大会に九州枠で出場して以来、3年ぶり7度目の全国大会(12月27日~来年1月7日・大阪府東大阪市花園ラグビー場)出場権を手にした。
 長崎南山は前半24分までに4トライ(3ゴール)を奪われ、7-26と大きくリードされたが、ここからバックスの展開力を生かして反撃。27分にフランカー小川がトライを決めて12-26で折り返すと、後半3分にWTB山下悠、9分にSH山下蓮がインゴールに飛び込んで同点に追いついた。その後は両校ともに決め手を欠いて無得点。そのままノーサイドとなった。
 全国各地の決勝は23日に終了。組み合わせ抽選会は12月2日、大阪市で行われる。

◎諦めず持ち味発揮

 抽選を終えた主将のSH山下蓮が、泣きながらロッカールームに戻った。「どっちだ」と詰め寄る仲間たち。ずっと下を向いたままの主将が言葉を絞り出した。「行ける…」。瞬間、長崎南山の選手たちの歓声が響き渡った。最後は抽選という勝負ではあったが、3年ぶりの花園切符を手にした喜びを抑えることはできなかった。
 苦しい試合だった。序盤は長崎北陽台FW陣の前進を止められず、4、8分にトライを奪われた。14分に1トライを返したが、その後も接点で受けに回って2トライを献上。前半24分に19点という大差をつけられた。
 久保田監督でさえ「想定以上に取られた。厳しくなったと思った」という展開。だが、選手たちは諦めなかった。ここから培ってきた「ボールを動かし続けるラグビー」を体現した。前半27分に1トライを返して折り返すと、後半の早い段階で2トライを決めて同点に追いついた。勝ち越しはできなかったが、今季の目標に掲げてきた県内主要大会4冠を達成した。
 負けられない理由がもう一つあった。10日前にエース後藤が左手甲を骨折。決勝の舞台に立てなくなった。この逆境でチームは「祭(後藤)を花園に連れて行く」と結束。後藤は「みんなを信じていた…」と真っ赤に染まった目で仲間たちへの感謝を口にした。
 次の舞台は県代表としては6年ぶりの出場となる花園。山下蓮がチームの思いを代弁した。「目標はベスト8。北陽台の分まで頑張ってきたい」


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