伝統の「黒門」 大村小創立150周年 五教館の歴史受け継ぐ オリジナルキャラ考案、記念誌も 長崎県

黒門の前で記念誌を手にする山下さん(左)と卒業生の渡邊教諭=大村小

 長崎県大村市玖島1丁目の市立大村小(高木修校長、607人)が今年、創立150周年を迎えた。江戸時代の大村藩校「五教館(ごこうかん)」の歴史を受け継ぎ、「黒門」の通称で知られる遺構が残る。児童らは記念式典で「歴史ある学校で生活できることが誇り」と語った。
 五教館は1670年、集義館の名で開校。藩校としては九州最古、全国でも7番目に古い歴史を持つ。身分差が厳しい時代に武士だけでなく一般市民にも門戸を開いた先進的な教育で知られ、東京府知事や衆院議長を務めた楠本正隆、物理学者で大阪帝大初代総長の長岡半太郎らを輩出した。1873(明治6)年、跡地に開校したのが大村小(当初は玖島小)だ。
 黒門は、藩主が来校した際に通った「五教館御成門(おなりもん)」の愛称。同校敷地に現存し、入学時と卒業時にこの門をくぐる伝統が脈々と受け継がれている。
 22日、同校であった記念式典に全校児童が参加。学習発表で「私たちだけがくぐることができる黒門がある大村小が大好き」などと述べた。30年前に児童が作詞した同校の愛唱歌「明日に夢を」を合唱し、「黒門くぐりはばたいて 明日に夢をふくらませ」との歌詞に思いを乗せた。
 150周年の記念誌を作成。オリジナルキャラクターも全校児童に募集し、6年の山下風佳さんが考案した「くすのきちゃん」を採用した。校庭にそびえるクスノキをモデルにしたキャラが鉛筆を持ったデザインで、同校の歴史を本に記録しているという。山下さんは「大村小の歴史が誇らしい。これからも受け継がれてきたものを大切にする学校であってほしい」と語った。
 教務主任の渡邊大和教諭(59)は卒業生。3年の時に100周年を迎え、黒門をくぐって卒業した。教諭として150周年を迎え「伝統が受け継がれていることがうれしい。子どもたちには人に優しく努力する、立派な大人になってもらえれば」と話した。

© 株式会社長崎新聞社