【なぜ?】原爆資料館の入館に“長蛇の列” 見学あきらめて帰る人も 「SNSでのマイナスイメージ避けたい」と担当者

平日でも1時間待ちは当たり前 中には諦めて帰る人も

広島市の原爆資料館では、最近は訪れる人が急増し、連日、入館待ちのための長い列ができています。中には、「せっかく広島まで来たのに、見るのを諦める」という人もいます。なんとかならないのでしょうか。

記者レポート(11月24日)
「きょうは平日ということで比較的マシですが、資料館の入り口から入館を待つ人の列はおよそ200人います。」

原爆資料館に入館するための待ち時間は、平日の24日正午でも、およそ1時間となっていました。

行列に並んでいる人
「1時間くらい。大丈夫です」(和歌山から)
「全然構わないです。勉強しに来ました」(熊本から)
「資料館は重要なことだと思うから、私は待つことは気にしてません」(フランスから)

多くが好意的な感想でしたが、中にはこんな意見の人も…。

入館をあきらめた人たち
「1時間?長すぎるわ!30分なら構わないけど、1時間は長すぎるわ」(シンガポールから)
「並んでたんですけど、バスの時間が1時まで…。もう無理かなぁと外れました。」(茨城から)
「ここは、次回は来られないと思うの。年齢的に。だから見たかったけど、時間が制限があるので。諦めます」(埼玉から)

なぜこんなに行列に?「SNSのマイナスイメージ避けたい」

広島市によりますと、今年度(2023年度)の原爆資料館の入館者数は、過去最多だったコロナ禍前の2019年度に迫る勢いです。
▽新型コロナが収まった
▽G7サミットの影響
などを理由としてあげています。

現在、館内の入場者は多い時で1000人を超えることがあり、安全のため、入場制限をすることもー。これが入館待ちの“長い列”ができている原因です。

広島市の担当者(国際平和推進部 西田満 被爆体験継承担当課長)
「せっかく広島にいらっしゃって、被爆の実相に触れていただく機会を逸していることがありまして、非常に残念に思っています。ここまでたくさん並ばれて…。SNSとかで悪い批判・悪いご意見があると拡散してマイナスになるのは避けたいなと」

広島市は、館内の混雑具合をウェブ上で公開したり、開館時間を延長したりして対策を講じていますが、行列の完全な解消にはいたっていません。

広島市の担当者(国際平和推進部 西田満 被爆体験継承担当課長)
「広島市としましては、今のサミット開催を契機とした追い風を逆風にしたくないので、やれることは様々なことをやっていきたいなと」

広島市は、年度内でもできることから取り組んでいくとしています。長い待ち時間の解消とじっくり見学できる環境の確保、その両面の改善が待ち望まれています。

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