【ジャパンC/追い切り診断】イクイノックスを上回る「S」の最高評価 「これ以上考えられない仕上がり」

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■リバティアイランド

【中間調整】デビュー2戦目のアルテミスSでまさかの敗北を喫したものの、以降は阪神JF、桜花賞、オークスと同世代相手のGIで負けなし。5カ月ぶりと自身最長ブランクのぶっつけで挑んだ前走・秋華賞。道中中団から早めに好位外に持ち出されて抜け出すと、最後はマスクトディーヴァに詰め寄られはしたが、セーフティーリードを保って押し切りV。史上7頭目となる牝馬三冠を達成した。レース後に目立ったダメージはなく、秋華賞から5日後の10月20日にさっそくジャパンCへの参戦を陣営が発表。

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短期放牧を経て11月2日に栗東へ帰厩。丹念なケアを経て10日に坂路4F52秒6(馬なり)と、初時計から上々の動きを披露した。レース16日前に坂路で中間初時計というのは、同じく「中5週で東京芝2400m」のオークスとぴったり同じ。1週前追いでは折り合い重視のCW単走を行い、緩いペースのなかじっくりと脚を溜め、ラストまでリラックスムードを保って素軽く伸びた。

【最終追い切り】レース当週は川田騎手が騎乗し、CW併せ馬。1秒近く先行させた相手を目標に進むが、直線に入ってもまだ差は大きかった。しかし、そこからの軽い促しへ鋭く反応すると、抜群の切れ味を発揮し並ぶ間もなく抜き去り、2馬身の先着を果たした。まったくの楽走ながらラスト1Fは圧巻の11秒0。相手をロックオンしてからの気迫、抜け出してからの集中ぶりと精神面での充実ぶりは、かなりのレベルと言えた。

【見解】前走時は、最終追いのCWラスト1Fが11秒7に留まるなど明らかに緩めの仕上げ。同世代相手にそこまで追い込まずとも、ということか万全一歩手前で臨み、そのあたりがラストで2着馬に詰め寄られた理由かもしれないが、結局は力の違いで三冠をゲット。そこを使われての上昇ぶりは目覚ましく、1週前に見せた落ち着きぶり、そして最終追いでの鋭い切れと、古馬一線級を相手にこれ以上考えられない仕上がりにある。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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