【ジャパンC/追い切り診断】イクイノックスに辛口「B」評価 前走の反動か……「調教ラップに一抹の懸念」

■イクイノックス

【中間調整】昨年の天皇賞・秋でGIを初勝利して以降、国内外のビッグレースで破竹の連勝を続ける文句なしの日本最強馬だ。連覇の懸かった前走の天皇賞・秋では、“捨て身”レベルのハイペースを刻んで逃げたジャックドールを目標に道中3番手で追走。道中10番手から猛然と追い込んだ前年とガラッと異なるレース運びながら、直線では馬なりで先頭に躍り出て、そのまま後続を寄せ付けずの快勝を収めている。レコード更新のオマケつきで、まさにスーパーホースの面目躍如。

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さすがに反動が心配されるレベルのパフォーマンスだったが、目立ったトラブルはなく短期放牧先でじっくりケアを施されたのち11月10日に美浦へ戻っている。12日に坂路ラスト2F13秒2-12秒8(馬なり)で体をほぐしたのが初時計。15日の1週前追いではウッド5F66秒2と水準の時計を楽にマークし、目標とした2歳1勝クラスを弄ぶように併入としている。

【最終追い切り】レース当週はいつも通り助手が騎乗し、ウッドで2頭の真ん中に割って入る3頭併せ。序盤はやや行きたがったようだが、すぐに収まりがつき、タイトに挟まれた直線ではスムーズに加速できていた。ラストの伸びはさすがの迫力。

【見解】一見、順調そのもので最終追いのタイムも前走「ウッド5F67秒6-1F11秒3」、今回「ウッド5F67秒5-1F11秒3」とほぼ同一。しかし、前走時のラップ構成が4F以降滑らかに加速できていたのに対し、今回は「13秒6-14秒1-12秒4-11秒3」とわずかながら減速した区間がある。「13秒6」の時点で行きたがってしまい、その後スピードを加減したか。このあたり、異例のハイペースを追走して勝利した前走のイメージが残っているのかもしれない。

もう少し調整期間があれば、イメージをクリアできたかもしれないが、今回は自身最短の中3週。2F延長となる本番での折り合い面がどう出るか。そもそも、そこまで頑健でないとされたこの馬にとって中3週そのものが試練。稀代のスーパーホースなだけにあっさり克服しそうではあるが、一抹の懸念は拭えないところだ。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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