「毎朝早く起きて支度しなさい」「3日休んだらクビ」…150年間現役の灯台 国の重要文化財に指定へ 壁からは〝就業マニュアル〟も

愛媛県・興居島の西側に位置する松山市の「釣島」に、約150年前に設置された灯台が、国の重要文化財に指定されることになりました。

150年前に建設された灯台が重要文化財指定へ

松山市の沖合い約5キロに浮かぶ「釣島」。
島の外周は2.6キロ、人口およそ30人の小さな島です。
高台に見える「釣島灯台」が、国の重要文化財に指定されることに。
対象となるのは、今から150年前の1873年に建設され、今も現役の洋式灯台1基と、隣接する旧官舎と倉庫それぞれ1棟です。

(松山会場保安部 交通課・菅原大課長)
「150年前にイギリス人の技術者によって設計され、花こう岩で作られた灯台」

真っ白な花こう岩のブロックを積み上げた、高さ9.9メートルの灯台。
外周を取り巻くように設置された手すり、特徴的なドーム形の屋根など、そのほとんどが建設された当時のまま残っています。

(松山会場保安部 交通課・菅原大課長)
「灯台の『灯器』は時代の移り変わりとともに新しく
なっているが、その他の灯台の施設やガラスなどは、明治6年当時のものが使われている」

天井には、太平洋戦争末期に機銃で撃たれた痕跡も…

また、隣接する旧官舎と倉庫は、県内最古の洋式建築で、1963年に灯台が無人化されるまで、管理人が住み込んでいました。

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「3日休んだらクビ」!? 150年前の厳しい労働条件とは…

(城 健大呂記者)
「花こう岩で作られた建物の壁です。表の部分は表面が平らに仕上げられていますが……建物の裏に回りますと、表面がでこぼことしています」

明治時代に入り急増した外国船の往来に合わせて設置された灯台には、工事期間を短縮するための工夫の跡も残されています。

ほかにも建物からは、当時の生活を伺い知ることのできるこんな資料も見つかっています。
明治時代の「勤務マニュアル」です。

(松山市文化財課・岸見 泰宏副主幹)
「『毎朝早く起きて支度しなさい』と。そして『灯台を管理する役人が来る前に支度を終えておきなさい』というようなことが書かれている」

更には、こんなルールも…

(岸見副主幹)
「病気の時は1日はお休みをあげますよということが書かれている。3日休んで治らない時は退職、クビになるかもしれないと」

150年前の灯台は、厳しい労働条件だったようです…

この他業務日誌や備品管理に使われた目録など、約200点の古文書が見つかっています。

150年間、休むことなく海の安全を見つめてきた釣島灯台。
今回の指定で愛媛県内の建造物で国の重要文化財は48件となります。

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