〈いしかわ百万石文化祭2023〉北陸の「鵜」文化継承探る 中能登で意見交換

鵜にちなんだ祭事について意見を交わす出席者=中能登町良川の鵜様道中ミュージアム

 鵜様(うさま)道中の宿保存会(中能登町)の「鵜でつなぐトークショー」(北國新聞社後援)は24日、国民文化祭の独自事業として、同町良川の鵜様道中ミュージアムで開かれた。保存会員が「鵜様道中」と同様に鵜にちなんだ祭事が伝わる福井県小浜市、富山市婦中町鵜坂の関係者と意見を交わし、伝統継承の方策を探った。

 鵜様道中は12月16日に気多大社(羽咋市)で営まれる国重要無形民俗文化財「鵜祭」の一環で、七尾市鵜浦町で捕獲したウミウ「鵜様」を気多大社まで運ぶ。中能登町には道中の宿がある。

 小浜市では奈良・東大寺の伝統行事「お水取り」に向けて毎年3月、遠敷川上流の「鵜の瀬」から清水を送る春の神事「お水送り」が行われている。婦中町鵜坂では、越中国司の大伴家持が売比河(めひかわ)(現在の神通川)の鵜飼を詠んだ歌にちなんだ売比河鵜飼祭が5月に実施されている。

 来年3月の北陸新幹線敦賀開業を見据え、北陸三県の交流を促進させようと中能登の保存会が企画した。意見交換には、鵜様道中の宿保存会の道端弘子事務局長のほか、小浜市職員、鵜飼祭実行委員会の会員らが出席した。

 祭事の担い手不足などの課題が挙げられ、小浜市の担当者は、お水送りでは地元の小学生と保護者に準備を協力してもらい、伝統行事に関心を持つきっかけにしていると報告した。鵜飼祭では、小学生が鵜飼にちなんだマスコットキャラクターを作るなど、子どもが盛り上げに一役買っている事例も紹介された。

 道端事務局長は「今後もそれぞれの保存会が交流を深め、観光促進にもつなげていきたい」と意気込みを語った。

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