中国、パンダブームに沸く 競争疲れ、癒やし求め

パンダの和花=6月、中国四川省成都(共同)

 中国がパンダブームに沸いている。ごろんと寝そべる姿が競争社会に疲れた人々を癒やす。日本など海外のパンダ熱が国内に伝わり人気が再燃したのも一因とみられる。生息地の四川省に和服姿のパンダ像が登場すると「親日だ」と炎上する騒ぎも。「国宝」のパンダは愛国心をも揺さぶる。

 「あ、動いた!」。スマートフォンがパンダの一挙手一投足を追う。5月、四川省の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は人でごった返していた。「立ち止まらないで」。警備員が「DJポリス」さながら手際よく観覧者を誘導した。

 基地では多数のパンダを間近で観覧できる。ブームをけん引するのは雌の和花(3歳)。「争いを好まない穏やかな性格」(中国人記者)が魅力で、この日も長蛇の列ができていた。

 中国メディアによると、5月の労働節(メーデー)前後の連休中、和花を目当てに26万人以上が訪れ、観光客1人当たりの消費を1450元(約3万円)押し上げた。パンダ関連のビジネスで毎年約34万人の雇用が生まれ、数百億元の経済利益がもたらされている。(成都共同)

中国に返還されたパンダのシャンシャン=7日、四川省のジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡基地(共同)

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