県内河川、サケ不漁一段と

北海道から購入したサケの卵を鯵ケ沢町漁協赤石支所のトラックに積み込む関係者ら=25日午前7時15分ごろ、野辺地町

 青森県内の河川で近年、サケの不漁が続いている。県のまとめでは本年度、サケが遡上(そじょう)する9月上旬~11月上旬の捕獲数は前年同期比2割に満たず、減少が特に目立っている。サケの人工ふ化事業を行っている県内の漁協関係者からは「この状況が続けば、事業継続は厳しくなってくる」との声が上がっている。

 県内河川の近年のサケ捕獲数は2015~18年度に10万匹を超えていたが、19年度は約4万6千匹と大幅に減少。その後も20年度約3万3千匹、21年度約1万5千匹、22年度約1万7千匹と低迷が続いている。本年度は11月上旬までで841匹で、前年同期(4971匹)の16.9%にとどまっている。

 国はサケの不漁に関し、春先の水温上昇が早く、サケの生育が不十分なまま海を北上したため、サバなどの他の魚に食べられ数が減っているなどの要因を挙げている。

 県内の河川でも不漁によりサケの卵確保が難しいため、漁業団体などでつくる県さけます増殖流通振興協会と県鮭鱒増殖協会は昨年度から、卵を北海道から購入。採卵やふ化、放流事業を実施している県内9漁協に分配。漁協は、放流するサケを県に販売して収入を得ている。

 25日早朝は、北海道からサケの卵計約301万粒が野辺地町に到着した。本年度4回目の搬入で、野辺地川漁協(野辺地町)、鯵ケ沢町漁協赤石支所(鯵ケ沢町)、奥入瀬川鮭鱒増殖漁協(十和田市)、追良瀬内水面漁協(深浦町)にそれぞれ分配された。

 鯵ケ沢町漁協赤石支所の石岡辰雄支所長(65)は「昨年の豪雨被害で、昨年、今年とやなを設置できなかった。海のサケで採卵しているが、今年は昨年の1割程度。水のくみ上げにかかる電気代も高くなって非常に厳しい」と語った。追良瀬内水面漁協でもサケの遡上が少なく、漁獲数は昨年の半分程度という。

 野辺地川漁協では、以前は1晩で多い時に200~300匹の漁獲があったというが、今年は5~10匹程度。11月上旬までの漁獲数は45匹にとどまる。県鮭鱒増殖協会副会長も務める佐藤淳二組合長(60)は「餌代も電気代も光熱費も高くなっている中だが、放流事業を続けないとサケが来なくなってしまう。つらいけれど、行政の協力を得ながら続けていかなければならない」と話した。

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